近年、利潤 (利益) の追求に留まらず、大局的な観点から企業経営を推進することが求められている。世界的な規模で注目されているSDGs (Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標) がまさにそれだ。国内でも大手企業を中心に積極的に取り組む企業が増えている。

SDGsとは、世界中の人々の幸福をめざして定められた17の目標

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(写真=Jacob_09 / Shutterstock.com)

SDGsは、国連に加盟している193カ国が2016年~2030年に達成することをめざし、2015年9月の国連サミットで採択された目標を指す。具体的には、17の目標とそれらを細分化した169のターゲット、232の指標が定められている。開発課題の解決に向けて、国連は2030年まで年間2~3兆ドルの予算を投じることを明言しており、世界的な規模の活動となることが予想される。

かけがえのない自然環境を守りつつ、地球上のあらゆる人が平等で公平な立場で便利さや豊かさを分かち合いながら、ともに経済的な発展を求めていこうという思想だ。

企業にとってSDGsへの取り組みは目先の利益に直結するものとは言いがたく、善意に基づく行動を求められているといえる。しかし、結果的にはグローバルに便利さや豊かさが広がることで、個々の企業が手掛けているビジネスの市場規模も拡大していくはずだ。そして、SDGsに注力する企業は中長期的なスパンで社会や金融市場などで高く評価され、業績の拡大にも結びつくことが予想されている。

SDGsの市場規模は果てしない「最小で71兆円、最大803兆円」

デロイトトーマツコンサルティングの試算によれば、最も規模が小さいと見込まれる目標 (4) 「質の高い教育をみんなに」でも市場規模は71兆円、最も大きいとされる目標 (7) 「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」に至っては803兆円に達するという。

一見すると慈善活動のように感じられる目標だとしても、「世界的な課題の解決に向けたソリューションの提供は大きなビジネス機会でもある」としている。また、現段階ではSDGsを意識していない企業であっても、すでに関連製品やサービスを手掛けているケースもあり、「関連企業が目標達成に向けて連携を強めることで新たな市場の獲得が可能となる」とデロイトトーマツコンサルティングは分析している。

実際に企業はどのような活動をしているのか ?

では、先頭を切ってSDGsに注力している企業は、実際にどのような活動を行っているのか ? たとえば目標 (1) 「貧困をなくそう」では、子どもの貧困問題に取り組む団体を資金的に支援する基金を設立する一方、新興国の農村地域で雇用を創出することによって、貧困のために子どもが売られてしまう問題の解決を図ろうとしている企業もある。

目標 (2) 「飢餓をゼロに」においては、やはり食品メーカーなどがもともとアプローチしやすいポジションにあるようだ。栄養価と保存性が高くて廉価な食材・食品をグローバルに普及させることで、新興国における貧困層の栄養状態改善を図ることを目標に掲げている企業もある。他には、預入残高に一定割合を乗じた金額をこども食堂に助成する定期預金もある。

目標 (4) においては、たとえば学習塾を展開しているような、教育関連を事業領域としている企業が取り組みやすいものだろう。ある大手事務機器メーカーは印刷費用などを負担するフィナンシャルスポンサーを募りながら、新興国で十分な初等教育を受けられない児童に教材を配布する活動を展開しており、今後はさらに異業種における取り組みが増えていきそうだ。

SDGsのゴールセッティングは2030年。これからの約10年で企業による取り組みはいっそう活発化していくことが予想される。世界中の企業のお金もそれに関連する活動に投じられていくことだろう。(提供:大和ネクスト銀行

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