2019年10月から消費税率が10%に引き上げられたが、生活の変化を感じることはあるだろうか。日用品など日々の消費に関しては、2%の違いはさほど気にならないかもしれないが、買い物の際には気にかけておきたいポイントがある。今一度、増税に際しての施策を復習しつつ、賢い消費生活を送るための対策について考えていきたい。

増税になったもの、ならなかったもの

消費税増税後,得する
(写真=PIXTA)

増税にならなかったものには、そもそも消費税が課税されない「非課税取引」と従前通り税率8%で据え置きされた「軽減税率」対象商品の2つがある。

非課税取引には、住宅の貸付、土地の譲渡・貸付、利子や保証料、郵便切手、民間保険会社の保険料、社会保険料の他に、行政手数料や外国為替の手数料などがあり、軽減税率の対象となるのは、飲食料品と週2回以上発行される新聞である。ただし、飲食料品のうち、外食 (ケータリングサービスを含む) や酒類、医薬部外品にあたる栄養ドリンクは増税の対象となる。

医療費は非課税取引だが、増税時期に合わせて、初診料は60円の引き上げで2,880円 (6歳以上で時間内診療の場合) となり、介護報酬も値上げとなっている。その他に、2019年10月1日を境に値上げするものは、郵便切手やはがきなどの郵便料金である。通常はがきは62円から63円へと1円、レターパックライトは360円から370円へと10円の値上げとなる。従来の62円切手を63円切手へと交換する際には、差額の1円と交換手数料5円の合計6円がかかることから、従来の切手が手元にある場合は、そのまま使用して1円切手を追加購入した方がよさそうだ。

それだけではない。火災保険も自然災害の増加により、2019年10月から5~10%の値上げとなっている。自動車保険に関しては、増税による修理代金の上昇を考慮し、少し先になるが、2020年1月から3%前後の値上げ見込みである。増税に伴い、「値上げの波」が押し寄せている。

増税後に買った方が得するものは ?

キャッシュレス・ポイント還元事業により、キャッシュレス決済を利用して支払いを行うと、5%もしくは2%分のポイント還元が受けられる。5%還元なら、増税後の方が得である。
還元率が5%か2%かは、店舗の規模や事業体によって異なる。一般の中小企業は5%、フランチャイズチェーンやガソリンスタンドは2%だが、制度対象となるのは登録加盟店となっている店舗だけであり、また加盟店によって決済手段が違うので買い物をする際には事前に確認しておきたい。特に、家電や宿泊施設など高額になる商品サービスで利用すると良いだろう。期間は2020年6月までとなっているので高額商品を購入する際には注意する必要がある。

住宅購入、リフォーム工事をすると次世代住宅ポイントが発行

住宅購入、リフォームについては、増税前の駆け込み需要の反動で、値引き交渉がしやすいだけでなく、全体的に新築の住宅着工件数やリフォーム件数は年々減少しているため、しっかり相談にのってもらえるかもしれない。国土交通省の「建築着工統計調査報告 (時系列一覧) 」によると、2018年4月~7月の着工数は前年同期比-1.6%、2019年4月~7月においては-4.3%、リフォーム件数も国土交通省「建築物リフォーム・リニューアル調査 (2018年度) 」によると住宅のリフォーム件数は前年度比-11.7%である。

また、増税後に住宅の新築やリフォーム工事を行った場合には「次世代住宅ポイント」が発行される制度がある。ポイントは家電、家具、カーテンなどの住まいで使える商品から、食料品や介護用品、子供用品など、幅広い種類の商品と交換できる。

ポイントの発行申請は遅くとも2020年3月までだが、予算は新築1,032億円、リフォーム268億円となっており、予算が終われば終了となるので間に合うようにしたい。商品との交換は2020年6月までとなっている点にも注意が必要だ。それ以外にもポイントが発行される条件は、新築住宅・リフォームの場合は2019年4月~2020年3月に着工・請負契約を行うこと、住宅性能 (耐震等級、断熱等級など) の要件を満たすこと、使用する製品が対象商品であることなど細かく定められているので、事前に確認しておきたい。

増税を契機に、様々な制度を活用してより賢い消費者になる行動を目指していきたいものだ。(提供:大和ネクスト銀行

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