「将来就きたい職業はYouTuber ! 」テクノロジーの発展でそんな声も聞こえてくるなか、実際のところは大人になったら会社員として働くことが、日本の子どもたちの間では前提となっているようだ。まずは、あるアンケート調査の結果にフォーカスを当ててみよう。
日本の子どもたちは将来の職業に対して非常に現実的な志向 ?
世界大手の人財サービス企業・アデコグループの日本法人と同グループのアジア太平洋地域6拠点 (韓国、香港、台湾、シンガポール、タイ、ベトナム) は、それぞれの国・地域に住む子どもを対象に「将来就きたい仕事」に関するアンケート調査を実施している。
それによると、日本の子どもの間で1位になったのは、男子が会社員で、女子がパティシエだった。会社員は女子でも3位に入っており、男女の総合ランキングにおいてもトップとなっている。
これに対し、他の6つの国・地域における1位、2位は、韓国が医者、芸能人、香港が先生、医者、台湾も先生、医者、シンガポールが先生、警察官、タイが医者、アスリート、ベトナムが医者、先生だった。このように、アジア太平洋地域全体では医者と先生の人気が高い傾向がうかがえる。
日本でも医者は男子が5位、女子が4位となっているが、先生は男女ともベスト10の圏外だった。一方、アジア太平洋地域においてトップ3以内に会社員がランクインしたのは日本だけで、日本の子どもたちの志向がグローバルにおいては特殊であると言えそうだ。
シンガポールでは起業家、タイではシェフ、香港ではパフォーマー、台湾では歌手・俳優がそれぞれ3位にランクインしている。これらと比較すると、日本の子どもたちは極めて現実的で、あまり夢や理想を追いかける傾向にないとも受け止められよう。
米国で人気の職業は医療系やIT系、アカデミック系も「人気=高年収」ではない傾向
では、実際に大人になってからの選択においても、日本と海外では人気職業の傾向に違いがあるのだろうか ? 米国で広く読まれている雑誌「US News & World report」が実施したランキング調査「2019年のベストジョブ100」に注目してみよう。
そのトップの座に輝いたのはソフトウェア開発者で、2017年における給与の中央値は10万1,790ドル (1ドル=108円で換算して1,099万3,320円) だった。2位は統計学者で、2017年の給与の中央値は8万8,270ドル (同953万3,160円) となっている。
3位は医師アシスタントで、2017年の給与の中央値は10万4860ドル (同1,132万4,880円) 。4位以降は医療関係の職業が続き、ようやく17位に数学者がランクインし、2017年の給与の中央値は10万3,010ドル (同1,112万5,080円) だった。
ただ、25位だった財務マネージャーの2017年における給与の中央値は12万5,080ドル (同1,350万8,640円) となっている。つまり、1位よりも高収入でありながら下位に位置している職業が存在するわけで、必ずしも「高収入=人気」ではないようだ。
また、米国では医療やITをはじめとして、高度な知識や技術を必要とする職業が人気となっていることがわかる。日本でもそういった職業に憧れる風潮はあるものの、大半の人々は専門職よりも会社員を選択していることは、子どもたちへのアンケート結果が象徴する通りだろう。
国や地域によって、差し引かれる税金と手取賃金にも格差が !
このように、国や地域によって職業への志向に違いが見られるのが現実だが、実際に仕事で稼いでいる金額についても格差があるのだろうか ? 経済協力開発機構 (OECD) が35の加盟国における平均賃金と課税実態を調査し、税引後の賃金 (純賃金) が高い10ヵ国をランキングしていた。
それによれば、1位はスイスで、5万8,864ドル (16.9%の所得税、社会保険料を支払った後の金額、以下同) が手取り額となっている。2位は手取り額4万6,593ドルのルクセンブルク (29.1%) で、3位は手取り額4万5,390ドル (28.7%) のアイスランドとなっている。
これらの国々に対し、日本は4万1,139ドル (22.3%) が手取り額となって8位に位置していた。そして、意外にも世界最大の経済大国である米国は手取り額3万9,211ドル (26%) で10位だった。
周知の通り、ビジネスはもちろん、日常の暮らしもどんどんボーターレスとなっている。こうした国や地域による職業事情の違いもふまえながら、日本だけにとどまらず、グローバルな視野で自分の進路を探し出す時代になっていきそうだ。
(提供:大和ネクスト銀行)
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