海外が好きなものの忙しくてなかなか旅行ができておらず、退職後に海外移住を検討している、という人も少なくないはず。移住先には、どのような国・地域が候補として挙げられているのだろうか。ロングステイ先として人気の国・地域や、生活スタイルに応じたコストの目安について紹介する。
コロナ禍が落ち着けば海外移住も再び選択肢に
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大は、国をまたぐ移動や人々の行動にも大きな影響を与えた。外務省の海外在留邦人数調査統計によると、海外に住む日本人は2021年10月時点で134万4,900人と、新型コロナ禍前の2019年から2年連続で減少した。
その一方で、海外各地では医療の体制強化や、海外からの渡航、国内の移動制限を緩和する動きが広がっている。今後感染の波が落ち着けば、海外移住を選択肢のひとつとして再び検討する日本人が増えていくことが予想されている。
人気首位は14年連続でマレーシア
海外移住先として人気を集めているのはどのような国・地域だろうか。一般財団法人ロングステイ財団が発表した「ロングステイ希望国・地域2019」によると、上位10ヶ国・地域は以下の通りだった。
・1位 マレーシア
・2位 タイ
・3位 ハワイ
・4位 フィリピン
・5位 台湾
・6位 オーストラリア
・7位 インドネシア
・8位 ベトナム
・9位 シンガポール
・10位 カナダ
マレーシアは2006年から14年連続で首位を維持。タイとハワイも9年連続でそれぞれ2位と3位にランクインし、3ヶ国の人気は不動のようだ。一方、8位のベトナムは初のトップ10入りとなった。
東南アジア6ヶ国と台湾が含まれるなど、日本との物理的な距離や、文化も近いアジア圏が長期滞在先として人気であることがうかがえる。また温暖な気候の場所や、英語が通じる国・地域も多いことも見て取れる。
海外移住の生活費はどのくらい ?
一口に海外移住といっても、生活費は国・地域や個人の生活スタイルによってさまざまだ。基本的にはその国の物価に左右されるが、「豪華な暮らし」をするか「質素な暮らし」をするかによっても、移住後のコストは大きく変動する。
例えば、海辺の豪邸で優雅に過ごし、週末はゴルフや国内旅行をのんびり楽しむといった生活がしたいのであれば、日本より物価が安い場合でもそれなりの資金が必要になる。反対に、現地の水準に合わせて必要最低限の生活環境で暮らすのであれば、生活コストをかなり抑えることも可能だ。
人気が高いマレーシアの場合は……
マレーシアの首都クアラルンプールの中心部で暮らすことを想定し、生活スタイルによってそれぞれのコストがどう変わるかを比較してみたい。
まずは生活費が安く済むケースを紹介しよう。1LDKのコンドミニアムであれば、セキュリティ完備でプールやジム付きでも家賃は5万~6万円からとお手頃だ。食事は屋台やローカル飲食店 (マレー系・中華・インド料理) の場合、1食当たり100~300円ほど。最低限の水道光熱費や通信費などを加えても、月に十数万円程度で済む。
一方、高級エリアの2LDKや3LDKのコンドミニアムの家賃は約10万~30万円に上る。日本食は1食当たり500~1,500円ほどで、高級レストランであればそれ以上となる。マレーシアの場合、国民はイスラム教徒が多いため、アルコールやたばこは日本と同程度かやや高め。ゴルフは5,000~1万5,000円が相場だ。住み込みのメイド (お手伝いさん) は月5万円前後、週数日のみなら1万~4万円ほどになる。
ここまで比較した条件以外に、生活費は移住するのが単身か夫婦かによっても変わってくるし、どのエリアに住むか、自炊と外食はどのくらいの比率か、娯楽はどのくらいの頻度で楽しむか、などによっても大きく左右される。マレーシアの物価は日本よりも低いが、移住を検討するなら、自分たちの望む生活が本当に可能かどうか、事前に計算してみることをおすすめする。
ロングステイの場合、税金はどうなる ?
海外への長期滞在で、税金はどのような扱いになるのだろうか。まず、海外に1年以上居住する場合、日本の役所で海外転出届を出す必要がある。1月1日時点で日本に非居住であれば、前年の住民税は支払い対象外となる。
ただし、日本の預金に対する利息や債券に対する利息、上場会社株式の配当、日本で賃貸している不動産の所得など、海外に転出しても引き続き国内で課税対象となる税金があるため、これらの資産を保有している方は確認が必要だ。
ちなみに、年金については海外で受け取ることができる。海外の口座へ年金の振り込みを希望する場合、日本国内居住者とは別の届け出を行うことで、所定の方法に基づいて支払われる。
自分に合う国を探して豊かな移住生活を
温暖な気候や安い物価の国・地域などで、自由気ままに暮らすことのできる海外移住は、退職後のセカンドライフの楽しみ方としては十分にアリではないだろうか。
移住を目指すのであれば、事前に現地情報をしっかり収集し、自分の資産事情や性格、生活スタイルにあった国を選ぶことをおすすめしたい。
(提供:大和ネクスト銀行)
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