長寿社会となり親も長生きする時代となった。自分が50歳、60歳、そして70歳になっても親の介護が続くこともある。そんな時代に知っておきたいのが「遠距離介護」に関するお金の対策だ。介護を通いで行っている人は2022年の調査でも10%以上いるため、決して他人事ではない。
遠距離介護は、多くのお金や時間を要することとなるが、今後を見据えてどのようにお金の対策を取ればよいのだろうか。
介護を通いで行っている人の割合は ?
厚生労働省が発表した2022年の「国民生活基礎調査」によると、要介護者等から見た「主な介護者」の続柄別構成割合は、以下の通りだ。
続柄 | 割合 |
---|---|
同居の配偶者 | 22.9% |
同居の子 | 16.2% |
事業者 | 15.7% |
別居の家族等 | 11.8% |
同居の子の配偶者 | 5.4% |
同居の父母 | 0.1% |
同居のその他の親族 | 1.2% |
その他 | 0.6% |
不詳 | 26.0% |
11.8%の「別居の家族等」が介護を通いで行っている人を指し、このなかに遠距離介護をしている人も含まれる。仮に住んでいる距離が近くても、公共交通機関の乗り継ぎなどが必要な場合は遠距離介護に近い大変さとなるケースも多い。
お金の負担が大きい遠距離介護
遠距離介護をする場合は、移動するための交通費がかさむ。また自分が近くで見てあげられない分、介護保険が適用されない介護サービスを利用しなければならないケースも増えてくるだろう。
介護保険が適用されないと基本的には全額自己負担となる。さらに、介護で自分の働く時間が削られ、給与収入が減る可能性も出てくる。
お金の負担を軽減するポイント
遠距離介護はお金の負担が大きくなりやすいが、お金の負担を減らすための対策がまったくないわけではない。例えば、以下の5つのような項目で対策を講じることができる。
交通費:介護割引や会員割引
まず交通費に関しては、航空会社の「介護割引」や鉄道会社の「往復割引」「回数割」などを活用する方法がある。ただしこうした割引は、すべての会社や路線で網羅的に提供されているわけではなく、活用できないことも多い。
通信費:無料通話アプリやファミリー割引
遠距離介護は簡単に会いに行きにくい分、通話でのやりとりの必要性が高まる。電話代を含めた通信費を抑えるためには、スマホの無料通話アプリを積極的に利用したい。親がアプリの使用方法が分からない場合は、会いに行ったときに丁寧に説明し、その場で通話のテストも済まそう。家族間の通話が無料になる通信会社のファミリープランなども活用したい。
住宅リフォーム費:介護保険制度を活用
同居していないとすぐに手助けができないため、転倒防止のための手すりや玄関スロープの設置といった「バリアフリー化」は積極的に行いたい。20万円までの改修工事は、介護保険制度の適用で自己負担額が低減 (原則1割 ※所得に応じて2~3割負担) される。自治体によっては、改修費用の助成金制度が用意されていることもあるため、調べておくといざというときに重宝するだろう。
収入減:介護休業給付金
「介護休業給付金」は、家族の介護のために仕事を休業する際、給料 (休業開始時の賃金の日額) の67%が保証される制度だ。目安としては、2週間以上仕事を休まなければならない状態のときに取得できる。原則、復職をすることが前提だ。
介護費用:カフェテリアプラン
従業員が付与されたポイントの範囲内で自由に福利厚生を選べる「カフェテリアプラン」 (選択型福利厚生制度) も活用したい。多くの企業で介護に関する福利厚生メニューが用意されているため、あらかじめ勤務先に確認をしておこう。
負担は軽減できるが、お金はかかる
ここまで説明したように、遠距離介護の負担はさまざまな方法を組み合わせることで多少は軽減できる。ただし、そうはいっても遠距離介護を始める以前よりも出費が増えることは間違いない。
そのため、こうした状況になることを見据えて早めに資産運用を始め、資金の準備をしておくことが何より重要だ。ただし資産運用によってお金が大きく減ってしまっては元も子もない。
資産運用に取り組む際には、損失リスクをできる限り抑えられるように「分散投資」という視点を持とう。具体的には、投資する時期をずらす「時間の分散」や、投資する資産を変える「資産の分散」、投資対象の地域や通貨を変える「地域・通貨の分散」などに取り組むことが大切だ。
資産運用で早めに資金の準備を始めよう
シニア期の生活や親の介護においては、たしかに国や自治体の制度を一定程度は頼りにできる。しかし、少子高齢化によって高齢者向けの予算・財源確保が今後一層大変になることを考えると、これからの時代、シニア向けのサービスや介護に対する支援が縮小していく可能性は大きい。
そのため、自分の老後や親の介護に関する費用については、なるべく自分で資金を準備できるよう資産運用に早くから取り組むようにしたい。
(提供:大和ネクスト銀行)
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