資産運用を行っている場合、税金の申告漏れには注意が必要だ。国税庁の調査によれば、株式などの譲渡所得の申告漏れは判明しただけでも年間で約425億円に上る。

とはいえ申告漏れを恐れて資産運用をしないことは、非常にもったいない機会損失といえる。税金に関する正しい知識を持ち、安心して資産運用に取り組みたいところだ。

譲渡所得の申告漏れに注意

株式投資などでの申告漏れ、年間425億円。資産運用と税金、正しい知識を
(画像=Andrey Popov / stock.adobe.com)

まずは、国税庁が2023年11月に発表したデータを参照してみよう。譲渡所得に関する調査等における「株式等」の件数、申告漏れ等の非違件数、非違割合、申告漏れ所得金額、1件あたりの所得漏れ金額は、令和3事務年度と令和4事務年度で、それぞれ以下のようになっている。

※非違件数とは、ミスや違反があった件数のこと

<譲渡所得の調査等の状況 (うち株式等) >

項目令和3事務年度令和4事務年度対前年比
調査等件数3,211件4,585件142.8%
申告漏れ等の非違件数2,852件4,115件144.3%
非違割合88.8%89.7%+0.9ポイント
申告漏れ所得金額381億円425億円111.4%
1件あたりの申告漏れ所得金額1,187万円927万円78.0%

令和4事務年度の非違割合は89.7% (申告漏れ等の非違件数4,115件÷調査等件数4,585件=非違割合89.7%) で、合計の申告漏れ所得金額は425億円に上る。1件あたりの申告漏れ所得金額にすると927万円だ。確定申告で申告が漏れているとペナルティとして「無申告加算税」や「重加算税」などの税金が課されることになるため、注意しなければならない。

とはいえ資産運用をしないのは「機会損失」

株式などの譲渡所得の申告漏れ件数は膨大な数になっているが、申告漏れを恐れて資産運用をしないという判断はしないようにしたい。

10年間資産運用をしないと……

元手の10万円を10年間資産運用した場合と、していない場合で比較してみよう。年間5%のリターンが得られる方法で資産運用をしたとすると以下のようになる。

経過年数資産運用しない場合資産運用した場合
1年後10万円10万5,000円
2年後10万円11万250円
3年後10万円11万5,763円
4年後10万円12万1,551円
5年後10万円12万7,628円
6年後10万円13万4,010円
7年後10万円14万710円
8年後10万円14万7,746円
9年後10万円15万5,133円
10年後10万円16万2,889円
※1年複利とした場合

資産運用をしないと10万円は10年経っても10万円だが、資産運用をすると16万2,889円になっている。資産運用をしないことで、資産を6万2,889円増やす機会を失ってしまったということだ。

20年間資産運用をしないと……

資産運用は、長く続ければ続けるほど資産が膨らむスピードが加速していく。これは、増えた利益がまた利益を生むという「複利効果」のおかげだ。仮に年間5%のリターンで10万円を20年間資産運用すると、増加スピードは後半の10年間のほうが速い。

経過年数資産運用しない場合資産運用した場合
10年後10万円16万2,889円
20年後10万円26万5,330円
※1年複利とした場合

最初の10年間では6万2,889円増えたが、10年後~20年後にかけては10万2,441円も増えている。20年間資産運用しないケースと比較すると、機会損失額がより際立ってくる。

資産運用で発生する税金の種類

税金の知識さえ持っていれば資産運用を始めるのは怖くはなくなり、機会損失をせずに済む。ここでは、資産運用の方法として人気が高い「株式投資」「投資信託」「外貨預金」で発生する税金の種類・率を紹介する。

株式投資の場合

株式投資では、譲渡益 (売却益) と配当金に20% (所得税15%+住民税5%) の税金がかかる。2037年までは復興特別所得税もかかり、合計の税率は20.315%となる。

投資信託の場合

資産をプロに運用してもらう投資信託の場合も同様だ。譲渡益 (売却益) と分配金に20% (所得税15%+住民税5%) の税金がかかり、2037年までは復興特別所得税が加算されて税率は20.315%となる。

外貨預金の場合

円より金利が高い通貨で預金を行う外貨預金では、利息と為替差益それぞれに税金がかかる。利息には、株式投資や投資信託と同様の形で20.315%の税率が適用される。一方、為替差益が生じた場合は「雑所得」として「総合課税」の対象となるため注意したい。総合課税とは、ほかの所得と合算して税額が決まる仕組みのことだ。

納税の方法は ?

非課税優遇が魅力のNISA (ニーサ) で投資をしている場合を含め、株式投資も投資信託も特定口座 (源泉徴収あり) と呼ばれる口座で運用していれば確定申告の必要がない。

また、外貨預金も利息を受け取る際に税金が源泉徴収されているため、確定申告の必要はない。ただし雑所得として扱われる為替差益の場合は、原則確定申告をしなければならない。ちなみに、年収2,000万円以下の給与所得者で、給与所得や退職所得以外の為替差益を含めた年間所得が20万円以下の場合は確定申告をしなくてもよいが、住民税は別途申告する必要があるため注意しよう。

確定申告の手続きは、前年分を毎年2月16日~3月15日の間に行う必要があり、提出書類を税務署に郵送または持参する方法とe-Taxを通じてインターネットで行う方法がある。

機会損失にはくれぐれもご注意を

資産運用を検討するにあたって、本記事で行ったような収益のシミュレーションができれば、どれくらい資産が増えるのか具体的に予測できるため、資金計画も立てやすくなる。機会損失にはくれぐれも注意し、税金に関する正しい知識を持ったうえで安心して資産運用に臨むようにしたい。

(提供:大和ネクスト銀行


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