老後の生活設計で「全面的に公的年金に頼る」と考えている人は、世代別でどれくらいの割合いるのだろうか。こうしたことを調べた厚生労働省の調査データがある。60代だと28.5%、70歳以上だと43.2%だ。

ただし、公的年金はあくまでも基礎的なサポートであり、これだけに頼るのはリスクが高い。本記事では、厚生労働省の調査データとともに収入口を増やす重要性について解説する。

生活設計と年金に関する世論調査

「老後は公的年金頼り」は何% ? 早いうちに収入口を増やしておく重要性
(画像=Wakko / stock.adobe.com)

冒頭で紹介した数字は、厚生労働省年金局が2024年3月の「第13回社会保障審議会年金部会」で示した資料「生活設計と年金に関する世論調査」に記載されているものだ。同調査は、2023年11~12月にかけて実施された。

老後の生活設計のなかでの公的年金の位置づけは ?

老後の生活設計のなかでの公的年金の位置づけについて「全面的に公的年金に頼る」と回答した年代別の割合は、以下のとおりだ。

年代割合
18~29歳8.2%
30~39歳10.4%
40~49歳16.3%
50~59歳24.7%
60~69歳28.5%
70歳以上43.2%
総数26.3%

全体では26.3%だった。年齢層が高いほど割合が増え、60~69歳が28.5%、70歳以上が43.2%という結果だ。

公的年金の仕組みをおさらい

ここで公的年金について、基本的な制度の概要を整理しておこう。公的年金は大きく「国民年金」と「厚生年金」に分類でき、それらはさらに3つの種類、すなわち「老齢年金」「障害年金」「遺族年金」に分けられる。

老齢年金

老齢年金には老齢基礎年金と老齢厚生年金があり、老齢基礎年金は原則受給資格期間が10年以上ある場合に65歳から受け取ることができる。減額された金額を受け取る「繰り上げ受給」を選択すると60~65歳、増額された金額を受け取る「繰り下げ受給」を選択すると66~75歳の間に年金を受け取り始めることができる。

一方の老齢厚生年金は、老齢基礎年金を受け取れる人が厚生年金の加入期間がある場合に支給される。厚生年金加入時の報酬額や加入期間などから年金額が算出され、老齢基礎年金に上乗せされる形で受け取る。

障害年金

障害年金は、病気やケガで仕事や生活が制限されるようになった際に受け取ることが可能な公的年金だ。老齢年金と異なり、現役世代でも条件を満たせば受け取ることができる。

遺族年金

遺族年金は、被保険者もしくは被保険者であった人が死亡した際、この人に生計を維持されていた遺族に支給される公的年金だ。

公的年金はあくまでも補うもの

これらの公的年金は、社会保険の一種であり、あくまで老後や病気・ケガなどに対する備えと考えていたほうがいい。近年は年金不安が取り沙汰されており、支給年齢の引き上げも今後考えられるため、これだけを頼りにするのはリスクがある。

実際、「高年齢者雇用安定法」の改正により、「70歳まで働ける労働環境を整備する」という趣旨で、70歳までの就業機会確保が企業の努力義務となっている現状もある。

改めて意識したい「副業」と「資産運用」

将来、公的年金だけに頼るのはリスクが高すぎるため、早めに収入口を増やすことを改めて意識したい。その際に候補となるのが「副業」と「資産運用」だ。

「副業」と「資産運用」の違い

「副業」と「資産運用」は、言葉の定義があいまいに使われている傾向だ。資産運用を副業と捉えるケースもあるが、原則副業は「労働などを伴うもの」、資産運用は「自分の資産にリターンを生み出してもらうもの」と考えておこう。

副業は、報酬を伴う仕事であればどのようなものでも副業になり得る。例えば、本業でのスキルを活かしてシステム開発に取り組んだり、文章作成やデータ入力作業をこなしたりと、さまざまだ。

資産運用は、例えば株式投資や投資信託の保有、不動産投資、外貨預金、ゴールドなどへの現物投資、債券投資などが挙げられる。

時間がなくても始めやすいのは資産運用

副業は労働などを伴うため、ある程度時間をかけて取り組む必要がある。ビジネスを立ち上げて不労所得を得ようとする場合も、その仕組みを構築するのは難易度が高い。一方、資産運用は忙しくて時間があまり確保できない現役時代でも取り組むことができ、インターネットを使えば資産運用をスタートするのも非常に簡単だ。

リターンがリターンを生む「複利効果」で資産を大きく増やしたいのであれば、新たな収入口を早めに確保する意味でも現役時代から取り組んでおくのが理想だ。

まずは外貨預金や投資信託から始めてみては ?

たしかに公的年金は、頼りになる制度だ。しかし大前提として公的年金は、資産を増やすためのものではない。豊かな老後生活を送りたいと考えている場合は、早速、資産運用に乗り出そう。初心者の場合は、外貨預金や投資信託など仕組みがシンプルで始めやすいものからスタートするのがおすすめだ。

なお、資産運用の方法によってリスクの種類や程度は異なる。一つの方法で資産運用をするよりも、複数の方法で行うほうがリスク分散されるため、初心者にもおすすめだ。

前述の外貨預金と投資信託を組み合わせることも選択肢の一つとなるほか、資産運用で得た利益にかかる税金が一定範囲内で免除されるNISAなどの制度も積極的に活用したい。

(提供:大和ネクスト銀行


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