株式マーケットの中で今なお注目の国といえば中国だ。2019年は主要な株価指数の上昇も鮮明だった。中国市場への投資を検討する際は、個別銘柄の保有だけではなく、リスク分散にもなる「投資信託」も選択肢に入れるとよいだろう。
中国の株式マーケットの現状
中国の株式マーケットの現状を把握するために、中国の主要な株式指数である「上海総合指数」と「深セン成分指数」の2019年の推移を確認しよう。
上海総合指数の2019年1月2日の終値は2,465.29で、2019年12月31日は3,050.12だった。1年の上昇率は23.7%となる。一方の深セン成分指数は、2019年1月2日の終値は7,149.27で、2019年12月31日は10,430.77で取引を終えている。1年の上昇率は45.8%と、こちらも高い。
このように、上海総合指数と深セン成分指数ともに上昇が顕著だ。
中国も新型コロナウイルスの影響を受けているが、すでに安定的な回復を続ける段階に入っていると予想する専門家も多い。経済活動の正常化に対する期待から、海外からの資金流入も顕著になりつつある。
「投資信託」や「ETF」という選択肢
こうした中国の状況を鑑み、今から中国株への投資を始めようという人もいるだろう。新型コロナウイルスの影響で経済が落ち込んでおり、今後の回復期待度を考えれば、まさに今が好機と考えている人が多くなっているのだ。
中国株への投資を始める際、個別銘柄を保有するという選択肢もあるが、中国株式などで組成された「投資信託」や「ETF(上場投資信託)」も検討したいところだ。特に、中国マーケットに精通していない場合、プロに運用を任せられる投資信託への安心感は大きい。
投資信託にはさまざまなファンドがあるが、株式型のアクティブファンドの場合、基本的には独自の運用方針を持ちながらも、複数の銘柄に投資する形で運用される。そのためリスクの分散効果もあり、ある銘柄の株価が極端に下落したとしても成果に対する影響は個別銘柄への投資に比べれば少なくすむだろう。
実際にはどんな投資信託がある?
では、中国株を対象とした投資信託にはどのようなものがあるのか。実際に存在する投資信託を紹介しながら、その運用方針を見ていこう。
●UBS中国新時代株式ファンド(年1回決算型):競争優位性が高い企業に注目
「UBS中国新時代株式ファンド(年1回決算型)」は中国企業と香港企業のほか、中国に主な活動拠点を置いている企業などの株式を投資対象とした投資信託だ。中長期的な成長が見込まれるセクターにおいて、競争優位性が特に高いと判断された銘柄を厳選して選んでいる。
実際に投資している銘柄を見ると、高い市場シェアや強いブランド力を誇っている企業が目立つ。
マンスリーレポートによれば、2020年5月末時点の組入銘柄としては、インターネット大手のテンセント、中国ネット教育大手の好未来教育集団(TAL)、日本でも抜群の知名度を誇るアリババ・グループ・ホールディングなどがある。
●深セン・イノベーション株式ファンド(1年決算型):企業の成長性に着目
深センは1980年に経済特区に指定され、「中国のシリコンバレー」と呼ばれる経済都市だ。その深センに注目しているのが「深セン・イノベーション株式ファンド(1年決算型)」で、先進技術によるイノベーションに取り組む企業の成長性に期待して運用されている。
投資している銘柄は、深セン証券取引所に上場している人民元建ての「中国本土株式(中国A株)」が主だ。大型株式のほか中小型株式にも着目してファンドが組成されており、知名度は低いものの急成長が見込まれる企業も投資対象に含まれている。
マンスリーレポートによれば、2020年5月29日時点の組入銘柄としては、情報技術を手掛けるラクスシェア・プレシジョンやゴアテック・インク、ヘルスケア事業のチャンチュン・ハイ・アンド・ニューテクノロジーなどが挙げられる。
深セン・イノベーション株式ファンドの2019年のリターンは50%を超えており、「中国株×投資信託」を考えるのであれば有力な選択肢となるだろう。
●東洋・中国A株ファンド「創新」 シリーズ(単位型):中国を代表する金融機関が運用
日本で販売される投信としては初めて、中国を代表する金融グループである「中国平安保険グループ」傘下の平安ファンド・マネジメント・カンパニー・リミテッドが実質的に運用を担い、高いパフォーマンスをあげている。
マンスリーレポートに記載されている2020年5月29日時点の組入銘柄としては、建築断熱材や機能性建築用塗料の研究、開発、製造、販売などを行っているアジア・キュアノン・テクノロジー・シャンハイ、インターネットソリューションを提供しているルクスシェア・プレシジョン・インダストリーなどがある。
また同じく「中国平安保険グループ」の平安ファンド・マネジメント・カンパニー・リミテッドが運用を担う「東洋・中国A 株ファンドDD『華夏』2 0 2 0」が7月から販売される予定となっている。
まず投資信託やETFを通じた投資を検討しては?
自動運転やAI(人工知能)などの先進技術分野で注目されている企業も少なくない中国。2020年以降の世界マーケットを見通すとき、中国は引き続き無視できない存在であり続けると予想される。
投資には、価格変動リスクや為替変動リスク、金融危機や災害などのカントリーリスクは当然ある。だからこそ、着実に成果が期待できそうな投資対象を選ぶことが非常に重要だ。
いきなり個別株で運用することにハードルを感じる人は、まず投資信託やETFを通じた中国への投資を検討してみてはいかがだろうか。
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