Microsoftのウェブサイト上で3月14日、「Windowsストアでのビットコインによる決済の停止」が告知された。しかし同日中には誤発表であったことが判明し、スポークスマンが米メディアを通して謝罪する騒ぎとなった。
気になるのは、そもそもなぜそのような手違いが起こったかという点だ。「火のない所に煙は立たぬ」というが、ビットコイン決済停止の検討が水面下で行われていたことは間違いない。誤発表の原因についは明らかにされていないため、様々な推測が飛び交っている。
仮想通貨ボイコット説や低需要説は信憑性が薄い
2014年12月からWindows10ストアでビットコイン決済を開始したMicrosoft。ユーザーはBidpayを通してビットコインで支払ったり、アカウントに金額を追加してアプリなどを購入できる。
ビットコイン停止がウェブサイトで告知されるやいなや、「大手企業による仮想通貨ボイコットだ」というユーザーから非難が殺到。大企業の仮想通貨やブロックチェーンに対する反応が、歓迎派と懐疑派の2つにわかれていることは以前からメディアに報じられている。
これまでの経過から、ブロックチェーンにはポジティブな姿勢を見せているMicrosoftが、仮想通貨に異議を唱えるとは想像しがたい。巨大ブロックチェーン・プロジェクト「イーサリアム」にも参加し、Windowsサーバー上での提供を目指しているほか、子会社であるAzureではクラウドサービスにブロックチェーンを取り入れるプロジェクトも進めている。
サービス利用者が少なかったという説については、ビットコイン取引件数が過去1年間で5割増したといわれている現在、主要原因になるとは考えにくい。Microsoftストアへのビットコイン決済導入にあたり、Microsoftコマース・アンド・ストア部門のエリック・ロッカード副社長も、「ビットコインの流通には時間を要するだろうが、今後成長を続けるはずだ」と長い目で見守る意向を示している。
不具合だらけのWindowsウォレットは決済機能が停止中
そうなるとモバイル決済アプリ、Windowsウォレットの立て直しという仮説が最も有力かと思われる。
2014年12月にリリースされたウォレットは、複数のカードを1つにまとめられる便利アプリとして人気を博したが、Windows10にアップデートされて以来不具合が相次ぎ、現在は決済を始めとする基本的な機能が停止されている。それを機にWindows Phoneのユーザー離れが加速中だ。
強敵Apple PayやGoogleのAndroid Payを相手に、簡易決済機能付き「Windows10モバイル」の発売を2017年に予定しているMicrosoftにとって、ここが決済機能改善の踏ん張りどころのであることは、想像するに容易い。ウォレットで通常の決済機能を停止している今、ビットコイン決済も取り除き、白紙からスタートさせるという発想に至っても不思議ではないだろう。
ビットコイン決済停止が本当に誤発表であったか、あるいは世間からのあまりの反響に慌てて発表を取り消したか--。本当のところを知る余地はない。どのような思惑があったにせよ、懸念されているような「仮想通貨ボイコット」ではなかったということだけは確かのようだ。( FinTech online編集部 )
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