確率論を度外視した人間の行動の背景とは
宝くじ売り場に長蛇を見かけることがある。「自分は」宝くじに当たると期待して買うのであろうが、1等の当選確率は1000万分の1という天文学的数字。前後賞を合わせたとしても、1000万分の3と1000万分の3である。たとえこのような絶望的な確率でも、どうして「自分は」当たると期待できるのだうか。
タバコを吸っている人は、タバコを吸わない人に比べて肺がんになる確率は、4.4倍に上昇すると言われている。肺がんになった人のうち、男性の68%、女性の18%が喫煙者だという調査結果もある。しかしながら、多くの喫煙者は「自分だけは」その4倍の確率には、当てはまらないと信じてタバコを吸っているのである。
本当の確率と「ココロの確率」は違っている?
そこで質問。AとBどちらのクジを選ぶのが正解だろうか?
【パターン1】
A:100%の確率で10万円
B:10%の確率で25万円、89%の確率で10万円、1%の確率で0円
【パターン2】
A:11%の確率で10万円、89%の確率で0円
B:10%の確率で25万円、90%の確率で0円
【パターン3】
A:100%の確率で1億円
B:10%の確率で2億5000万円、89%の確率で1億円、1%の確率で0円
【パターン1】では、Aを選んだ人が多いのではないだろうか。Bの中には「1%」の確率で0円があり、この「1%」が絶対に安全ではないと判断した結果であろうと思われる。
【パターン2】も、AとBの確率の差は、同じ「1%」。もともと89%というリスクの高いところなので、そのリスクが1%ぐらい上がってもあまり関係ないと感じるかもしれない。数字では同じ「1%」なのに不思議な現象である。
【パターン3】では、かなり多くの人が、Aを選んだのではないだうか? こちらも【パターン1】と同じ「1%」の確率なのだが、金額が1億円になると、同じ確率でもとらえ方が違ってくるようである。