目次

  1. 選択の種類が多すぎると購買につながらない
  2. 選択肢が多いときに見られる3つのマイナス行動
    1. 現状を維持する傾向
    2. 利益に反する選択をする傾向
    3. 選択したことに満足できない傾向
  3. 経営者は1週間で平均139件の決断をする

選択の種類が多すぎると購買につながらない

人は「選択肢が多すぎる」と選択するのをやめてしまうことがある。この選択について研究したのが、コロンビア大学のシーナ・アイエンガー教授の「ジャムの実験」。これは、スーパーの店頭で6種類のジャムの試食販売をした時と、24種類の試食販売をした時では、消費者はどんな選択をするのかというものである。このジャムの試食販売に立ち寄った人数の割合は24種類の方が60%、6種類の方が40%という結果になった。選択肢の多い方にたくさん人が集まるものの、実際に購入した人の割合を見ると、24種類の方が3%、6種類の方は30%の人が買っていった。人数で言うと6倍の人が6種類の試食販売で買っていたことになる。

つまり、人はあまり選択肢が多すぎると迷ってしまい、購入することをあきらめてしまう傾向にある。この実験結果を取り入れて実践したP&G(プロクター&ギャンブル)社は、26種類あったシャンプーのうち売上げの低い商品を廃止して15品目にした結果、売上げが10%アップしたのである。

選択肢が多いときに見られる3つのマイナス行動

人はあまり選択肢が多すぎると迷ってしまい、購入することをあきらめてしまうことが往々にしてある。選択肢が多い場合は、次の3つのマイナス行動をすることが分かっている。

現状を維持する傾向

人は3種類しか商品を置いていないお店によりも、やはり何種類もそろえているお店に入るものである。しかし、何種類もの商品を取りそろえたお店で実際に売れているのは、主力の3種類が50%というデータがある。つまり、選択肢が多いときは馴染みのもの、または買わないという、現状維持を選択する傾向がある。

利益に反する選択をする傾向

あまりにも複雑で選択肢が多い場合は、得すると分かっていても、選ぶのをやめてしまうことがある。老後などの将来に不安を感じ、あるいは今後インフレが進んだ場合のリスクに不安を抱き、株式や投資信託の運用を始めようと証券口座を開設された方もいるだろう。しかし、株式の上場銘柄は東証1部だけでも約1700銘柄、投資信託は5700本以上もあり、数が多すぎて選択ができかねる状態である。つまり、証券口座を開設したものの、あまりの数の多さに選択できないことを「利益に反する選択」と言う。

選択したことに満足できない傾向

多くの選択肢の中から一つのものを選んだときの満足度は、少ない選択肢で選んだよりも低いという調査結果がある。恐らく、他にも良い選択肢があったのではないかと考えてしまうからである。これは、景気の良いときに就職した人よりも、就職氷河期に就職をした人の方が、会社への満足度が高いという調査報告と似た心理的作用が働いていると思われる。

経営者は1週間で平均139件の決断をする