「ウォッカ・マティーニを、ステアではなくシェイクで……」

あなたは、ラスベガスのカジノを訪れていると想像してください。まずはルーレットで腕試しをしようと思います。見ているとちょうど、赤が7回連続ででたところです。

間もなく次の勝負が始まります。赤と黒、どちらに賭けましょうか。

さて、ここで問題です。
7回連続して「赤」が出たとき、次に「黒」が出る確率はどのくらいでしょうか?

過去の数字に引っ張られる「ギャンブラーの誤謬」

投資,失敗,心得
(写真=Thinkstock/Getty Images)

正解は「50%」です。

読者のみなさんの中には、この答えを意外に感じる人もいるかも知れません。黒が出る確率はもっと高いのではないか? そう考える人もいることでしょう。

このルーレットの事例は、「ギャンブラーの誤謬(ごびゅう)」と呼ばれるもので、多くの人が陥りやすい間違いとされています。つまり、過去の数字に引っ張られて確率の読みを誤ってしまうのです。

たとえば、野球で3割バッターがいて、7打席連続で凡退したとします。打率3割なので次の打席こそヒットを打ってくれると考えるのは間違いです。次の打席でヒットを打つ確率も、あくまで3割であることに変わりありません。

確率は、試行回数を増やすほど「平均化」する

確率の定理で「大数の法則」があります。数多く繰り返すことで確率は理論値に近づくという基本法則です。

サイコロを10回振っても、偶数と奇数の出る確率は必ずしも50%とは限りません。しかし、回数を増やし繰り返すことで、ほぼ50%に近づきます。つまり、試行回数が増えれば増えるほど、確率は平均化するのです。

先のルーレットで赤が7回続いたのは、単なる偶然かも知れません。でも、赤が100回続いたとすれば、さすがにイカサマの疑いが高まります。回数が多くなれば、ほぼ半分の確率に近づいていくはずです。

ちなみに、「大数の法則」が使われている商品の代表に保険があります。生命保険や自動車保険の保険料は、大量のデータから保険事故の発生率を割り出し、保険料を算出しているのです。

投資の世界でも起きる「ギャンブラーの誤謬」

ところで、「ギャンブラーの誤謬」は投資の世界でも当てはまることがあります。

株式投資をしていて、相場がここまで下がったのだから、いくらなんでもこのくらいで反転するだろう。と考えてしまうことはありませんか?

人は「滅多に起こらないこと」を目の当たりにすると、冷静さを失ってしまうことがあります。そんな時に、底値だろうと思って株を買って、さらにズルズルと下げていったという「失敗談」は珍しい話ではありません。かくいう私にも、そのような経験がありました。

「逆張り」のつもりが、泥沼にはまったというところでしょうか。
逆張りとは、相場の流れに「逆らうように」売買をすることです。

実際問題として、私の周りでも「逆張り」を好む投資家は少なくありません。彼らが逆張りを好む心理的背景には「ギャンブラーの誤謬」が働いているのかも知れません。

売るべし、買うべし、休むべし

投資では、勝つことも負けることもあります。
負けが何度も続くと「これはおかしい」「ずっと負け続けることはありえない」「次はきっと勝つに違いない」そう考える人もいることでしょう。

しかし、何度も連続して負けたからといって、「次に勝つ確率が高まる」わけではありません。むしろ、そんな自分に都合の良い思い込みが、さらなる損失を招くことにもなりかねません。冷静な判断力を失った人間は、周りの助言にも聞く耳を持ちません。そうなると「破滅への道」をまっしぐらです。

相場の世界では「売るべし、買うべし、休むべし」という格言があります。ときには相場から手を引いて、頭を冷やし、じっくりと考える余裕を持ちたいものです。

今回は、投資で損失を拡大させる「心理的ワナ」について解説しました。ギャンブラーの誤謬とは「投資家の誤謬」であると同時に、「自分自身の誤謬」なのです。

長尾義弘(ながお・よしひろ)
NEO企画代表。ファイナンシャル・プランナー、AFP。徳島県生まれ。大学卒業後、出版社に勤務。1997年にNEO企画を設立。出版プロデューサーとして数々のベストセラーを生み出す。著書に『コワ~い保険の話』(宝島社)、『こんな保険には入るな!』(廣済堂出版)『怖い保険と年金の話』(青春出版社)『商品名で明かす今いちばん得する保険選び』『お金に困らなくなる黄金の法則』(河出書房新社)、『保険ぎらいは本当は正しい』(SBクリエイティブ)、『保険はこの5つから選びなさい』(河出書房新社発行)。監修には別冊宝島の年度版シリーズ『よい保険・悪い保険』など多数。

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