コラム,アジア
(写真=PIXTA)

中国とインドを中心とするアジアFinTechに、昨年投じられた金額は45億ドル(約5017億5000万円)となるなど、アジアFinTechの動きが加速している。

2011年から14年の3年間で10件にも満たなかった5000万ドル(約55億7500万円)以上の大型投資が、昨年だけで17件に急増。2010年から4年間の総計以上を、たった1年間で達成するという成長を遂げた。昨年の最高投資額10件のうち5件をアジア企業が獲得するなど、アジアへの投資は規模が大きいことも特徴である。

KPMGとCB Insightsが四半期ごとに共同発表しているFinTech(フィンテック)ベンチャー・キャピタル(VC)・レポートの最新版によるデータ。

投資額は欧州の3倍 北米に次ぐ第2の地域に

世界中でFinTechが大盛り上がりだった2015年は、投資総額が190億ドル(約2兆1185億円)という記録的な数字に達した。

しかし絶好調だったのは第3四半期までで、第4四半期には急激に失速。全体で64%の減退がアジアにも広がりを見せていることから、今年もFinTechブームは継続するものの、「欧米、アジアともに資金調達で苦戦が強いられる傾向が強まる」とKPMGは見ている。

その一方でアジアの快進撃に、期待を隠せない声も大きい。9月から12月にかけて著しい落ち込みを見せたとはいえ、最大のベンチャー投資規模を誇る北米では、昨年60億ドル(約6690億円)がFinTech企業に投じられた。

それを追い上げるかのようにアジアへの投資が急伸し、欧州(15億ドル/約1672億5000万円)を3倍も引き離している。

ロンドンをはじめFinTechが盛んな欧州でさえ、繁栄期であった2014年から15年の伸びはわずか5億ドル(約557億 5000万円)という事実を考慮すると、昨年のアジアFinTechの成長がすさまじかったか想像できるだろう。

投資地域には偏りが見られ、資金の5割以上は中国へ(26億ドル/約2899億円)、2割がインドへ(10億ドル/約1115億円)と流れており、残りの3割をシンガポールやベトナムといった東南アジア諸国が共有している。

アリババやテンセントを始めとする中国大手企業のFinTech産業参入が、中国への投資拡大に貢献していることは疑う余地がない。

しかし欧米の政府や企業の支援を一身に受けるベトナム、グローバル化で一歩先を行くシンガポールのほか、台湾、韓国、日本など、今後FinTech業界で頭角を現す可能性を秘めた国が、アジアには勢ぞろいしている。

欧米、アジアともに「FinTech正念場の年」といわれている今年、前四半期の失速から巻き返すことができるのはどの国か--非常に気になるところだ。( FinTech online編集部

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