キャッシュレス先進国といわれるスウェーデンの中央銀行リクスバンクが、国内におけるキャッシュレス化の速度が、需要と供給のバランスを著しく崩している点を指摘。「キャッシュ・サービスの提供を、決済用口座の必須事項として銀行に義務つける」法的必要条件を財務省に要請した。

近年スウェーデンでは通貨流通量が激減。6年前と比較すると1060億クローナ(約1兆4399億円)から800億(約1兆867億円)に落ち込んでおり、現金取引は国内全体のわずか2%だという。

「銀行で現金が使えない」100%キャッシュレスな町も

法案によると、スウェーデンの銀行が現金取り扱いサービスの縮小を早急に進めすぎたことにより、国内の通貨流通量が一気に押し下げられたという。

特に地方ではキャッシュ・サービスが行き届かなくなってきているなど、次々と問題点が明るみに出はじめた。リクスバンクは「供給が需要に追いついていない」とし、こうしたギャップがさらに広がることを懸念して、財務省の協力を求めるに至った。

1661年に欧州初の紙幣を導入、1668年には世界最古の中央銀行を設立したスウェーデンは、世界屈指のクレジット大国に成長。「ワールド・クラス・ペイメント」の調査では、クレジットカードの所有率、利用率ともに世界上位5カ国にランクインしている。

「少額の買い物でもカードで決済」という国全体の風潮がFinTechの発展に大きく貢献しているほか、コスト削減や犯罪防止につながるなど、良いことづくめのように見えたキャッシュレスだが、ここにきて思わぬところで波紋を投げかけている。

しかしこうした中央銀行の動きを、「極端に走りすぎだ」と批判する声も方々からあがっている。スウェーデンは近年、ノルウェー、デンマークなどの近隣国とともに、率先してキャッシュレス化を促進してきた。現在では大手スカディナヴィスカ・エンスキルダ・バンケン(SEB銀行)が現金取り扱いサービスの7割を停止し、銀行で現金が使用できない町もあるそうだ。

ATM業界団体(ATMIS)のマイク・リーCEOは、「消費者には決済法を選ぶ権利がある」とコメント。「リクスバンクがキャッシュレス社会の幻想に気が付いたことは評価できる」が、キャッシュレスがもはや社会の常識となったスウェーデンで、一体どのような手段を用いて歯止めをかけられるのだろうか。( FinTech online編集部

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