年度末相場
(写真=PIXTA)

年初からの波乱相場に幕

前回のレポートで、「酷い相場だった」と過去形で書いたら、多くの読者から「まだ終わってないのでは?」との質問を受けた。今回の下げ相場で底なしのような恐怖を味わった方もいただろう、そう簡単に疑心暗鬼は晴れないに違いない。だが、もう終わったのだ。昨年の夏から半年に及んだ市場の混乱は収束した。

先週末、NYダウ平均は6日続伸、週間ベースでは5週連続上昇で終えた。株価は年初来プラス圏に浮上した。年初からのこの相場変調を、僕はずっと「二番煎じ」だと言ってきた。まったく同じ材料で同じように下げている。同じことの繰り返し、それが「二番煎じ」だと指摘した。

だから、二回目は怖くない。さきほど、「底なしのような恐怖を味わった方もいただろう」と述べたが、実は市場参加者の心理は「恐怖」というものとはかなりかけ離れたものだった(ただし、いやな相場だとは思っていただろうが)。

「米国景気はリセッション入りする」「リーマン危機の再来かもしれない」などとさんざん騒がれたわりには、「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数は昨年夏のチャイナショック時に急騰した水準の半分までしか上がらなかった。そして先週末には15を割ってチャイナショック発生以降で最低水準に低下した(グラフ1)。危機モードを完全に脱したと言っていいだろう。

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象徴的なのはこのNYダウ平均のチャートである。Wボトムをつけて急落前の水準をほぼ取り戻した。昨年夏のチャイナショック時における急落・反騰とまさに同じ絵だ。このチャートを見ると、くっきりとシンメトリー(対称)になっているのがわかるだろう(グラフ2)。

典型的なミラー(鏡)チャートだ。昨年夏のチャイナショック、そして今回の年末年初からの急落と2回ともWボトムをつけて切り返したが、俯瞰してみれば昨年夏と今回の2回の急落・反騰が大きなWボトム形成になっている。半年かけて相当なリスクシナリオを消化し織り込んだということであろう。

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