世界46カ国の大手金融機関でCEO、CIO、トップ・マネージャーなどを務める544人中、83%が「FinTech(フィンテック)の脅威を懸念している」ことが、プライス・ウォーターハウス&カンパニー(PwC)の調査から判明した。

75%がFinTechを「顧客サービスの向上に欠かせないツール」と見なしている一方で、大半がスタートアップとの提携関係やブロックチェーンの採用に戸惑いを示すなど、大手金融機関とFinTechの相異なる関係が浮き彫りになっている。

金融機関とFinTech企業の共存の壁は「社風」「運営」

この調査は金融機関やFinTech企業でデジタル金融革命に関与している現職者に、「FinTechへの意識」をはかる目的で実施された。

回答者はFinTechの発展により、「2020年までに少なくとも20%の金融機関が深刻なリスクにさらされる」という見解を示している。最も猛威をふるうと予測されている分野は消費者銀行(80%)で、決済(58%)、投資およびウェルスマネージメント(38%)が続く。

全体的なアンケート結果から、FinTech企業の市場参入のプレッシャーは、銀行と決済分野に集中していることがわかる。しかしウェルスマネージャーの54%、保険業者の74%がFinTechへの懸念を示すなど、その影響は非常に広範囲にわたっている。

懸念の的となっている「利益率(67%)」に次いで、「市場シェア(59%)」をFinTech企業に奪われるという不安感が強いようだ。割合については、決済分野のシェアは最高28%、銀行分野のシェアは最高24%など、2割以上3割未満と見積もる回答者が多かった。

興味深いのは、以前から金融機関ーー特に銀行が苦手としているブロックチェーンへの意識が、これほど世界中で開発と採用が盛り上がっている現在も、内部関係者の間ではほとんど変化していないという点だ。回答者の56%はブロックチェーンを認識しており、その重要性も認めているにも関わらず、57%が採用には難色を示している。

PwCのFinTech部門、Emeaの責任者、スティーブ・デービス氏は、金融機関にとって外部機関であるFinTechとの共存がいかに困難であるかを指摘。現時点で32%がスタートアップと提携関係を結んでいるが、大半の回答者にとってマネージメントや社風、運営プロセスなどが「壁」となっている。

しかしFinTechへの投資額は今後3年から5年以内に1500億ドル(約16兆7325億円)に達し、従来型の金融機関やテクノロジー企業、テレコミュニケーションなどの明確な枠組みを取り払い、さらに進化を遂げることが予測される。

そうなればFinTechとの共存を受け入れない金融機関にとって、非常に厳しい生存競争となるだろう。( FinTech online編集部

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