政治家,放送,規制
(写真=Thinkstock/Getty Images)

放送法についての議論がここ数か月続いている。発端は2月8日に行われた、衆議院における予算委員会での質疑に対する高市早苗総務大臣の発言だ。

これは近年、政権に対して批判的な発言や放送が多いテレビ番組の終了やニュースキャスター、ジャーナリストの降板が相次いでいる中で、民主党議員の質問に対して、政府が行政指導を行っていても報道の偏重を改善しない場合は電波停止がありうるかの様な回答を行った事にある。

マスコミ各社や多くのジャーナリストがマスコミに対する恫喝であり、報道の自由への挑戦だと声を上げた。

野党議員の質問が発端

高市総務相に対する質問は、千葉県選出(比例南関東ブロック比例復活)の民主党衆議院議員、奥野総一郎氏が行った。放送法第4条に違反しても、電波法174条および同76条の規定を適用しないと明言するよう求めたもの。

放送法第4条では、放送事業者は、国内放送及び内外放送の放送番組の編集に当たっては、公安及び善良な風俗を害しないこと、政治的に公平であること、報道は事実をまげないですること、意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすることを守らなくてはならないと規定している。

また電波法174条は「総務大臣は、放送事業者がこの法律又はこの法律に基づく命令若しくは処分に違反したときは、三月以内の期間を定めて、放送の業務の停止を命ずることができる」としている。

さらに電波法76条には、「総務大臣は、免許人等がこの法律、放送法若しくはこれらの法律に基づく命令又はこれらに基づく処分に違反したときは、三箇月以内の期間を定めて無線局の運用の停止を命じ、又は期間を定めて運用許容時間、周波数若しくは空中線電力を制限することができる」と規定されている。

法律がある以上は処分されてもおかしくはない

この質問に対して、高市総務相は、法に基づいて処分を行う可能性があるということ、すなわち行政指導を行っても改善せず、同様の行為が繰り返される場合に、何も対応をしないと約束はできないと答えた。

この発言がマスコミに対する恫喝、報道の自由を阻害しているとの非難がされているのである。

たしかに批判しているマスコミが唱えている様に、この規定については戦前にマスメディアが戦意向上によるプロパカンダ、もしくは事実の隠ぺいに携わった事についての反省もあり、この様な条文となっている。

とはいえ、これは事実に基づいた公平な報道を求めた物であり、政府の意向に沿うものであろうとなかろうと、事実ではない事を事実かのように報道すること、不公平な立場で報道することは行うべきではない。

我が国は法治国家である以上、法に抵触した場合は、法に基づいて処分を行うべきだ。法律ができた状況が時代にあったものかどうかは別として、ことこの意味において言うとすれば、高市総務相の回答は決して間違っていない。

疑問視される行動をとっている報道機関もある

今回の停波発言は、マスコミにとっては触れられたくはなかった部分であろう。近年、テレビ局、新聞社双方において公平性が疑問視される報道が多数行われている。

朝日新聞における慰安婦誤報問題や各種テレビ番組でのヤラセ問題など、公平性や事実に本当に即しているのか、国民から疑問視される行動を行っているのはマスコミ自身だ。本来、身内で襟を正すべき話を国会の場で議論されてしまい、また停波の可能性まで踏み込まれてしまったことには、質問した奥田議員に対して不満があるかもしれない。

また特に新聞社は近年、軽税税率導入にかかり新聞は軽減税率となる様に主張をしてきた。この際には、新聞は公器であり、知識には課税すべきではないとの主張を行っていたが、事実ではない事、偏った立場による報道してしまっているようであれば、軽減税率の適用に疑義をはさまれても仕方ない。

事実は中立に報道を行ったうえで、自社の意見を報道することが求められる。かつて日興コーディアルグループの様に誤った報道がなされ、結果企業が上場廃止や倒産、身売りとなった例が数多く存在している。しっかりと立場を鮮明にしたうえで正しく事実を伝える姿勢がマスコミ各社には今まで以上に求められよう。

今回、マスコミ各社の停波発言に対する批判がやや及び腰に見えるのは、自分たちにも批判が及ぶことを危惧しているのではないだろうか。

木之下裕泰(金融・政治アナリスト/MBA・金融工学修士)

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