3月に閉鎖された金融商品比較サイト「Google Compare」に続き、今度は「Google Wallet」のデビットカード・サービス「Google Wallet Card」が4月末で打ち切られることになった。

以前からFinTechへの本格的な参入がメディアで報じられていたGoogle。旬のスタートアップを子会社GVのポートフォリオに次々と取り込んでいるほか、今月からは自社の「クラウド・マシーン・ラーニング(機械学習)」をスタートアップに開放している。将来的な展望を物理的カード(デビットカードやクレジットカードなど)から最新のテクノロジーに移行させたことは間違いないようだ。

Android Pay1本で勝負 物理的カードの時代は終了

2011年のサービス開始当初、「NFC対応携帯で店頭販売の決済にのみ利用可能」とGoogle Walletのユーザー層はかなり限定されていた。そのため2013年後半にはデビットカード対応で巻き返しを図るなど、苦戦を強いられる結果となった。

しかし2014年に米大手携帯キャリア3社(T-Mobile、AT&T、Verizon)から発売されるアンドロイド・スマートフォンに、Google Walletのアプリをインストールする契約にこぎつけたことが転機となる。

これらの会社のベンチャー事業であった無線通信会社、ソフトカード・テクノロジーを翌年に買収。米国最大級の規模を誇るネットワークとテクノロジーとを屈指して世間に送りだした「Android Pay」で、NFC決済を見事に復興させた。

GoogleはAndroid Payを欧米や中国で勢力的に展開しており、今後は次々に新手のアプリを登場させることでユーザー拡大を狙っている。Android Payという明確な方向性を打ち出した今、物理的カードに対応する理由がなくなったのだろう。Google Wallet Cardの正確なユーザー数などは公表されていないが、方向転換を検討する際に継続を視野に入れるには不十分だったと推測される。

サービスの停止についてGooleは「Walletをより使いやすく便利なツールとして再構成するためのステップ」と、ユーザーへのサービス停止案内で説明している。Google Wallet Cardへの入金は今月末で終了。5月以降も残高を利用して支払いは継続できるが、6月末で完全に機能が停止される。

Googleは同様のサービスを求めている既存のユーザーに、「アメリカン・エキスプレス・サーブ」や「Simple Visa」への移行を薦めている。( FinTech online編集部

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