株主優待,谷山歩
(写真=PIXTA)

優待を実施する企業(以下優待銘柄)が人気化して久しいが、その人気は2016年になっても相変わらず続いている。テレビや雑誌などで「優待」の存在を知り、株式投資の世界に興味を持った方も多いことだろう。

ただ、大人気のディズニーリゾートの優待をもらうためには77万6200円、マクドナルドの優待を受けるためには26万1500円が必要で、手が届かないと思っている方もいるかもしれない。しかし、株主優待には実は数万円から購入でき、かつ優待のリターンも高い隠れ優良銘柄がたくさんあるのだ。

そこで、筆者が選ぶ10万円以下で買えるバラエティ豊かな優待銘柄を5社ほどご紹介していく。全てを購入しても30万円以下なので、初心者でもきっと始めやすいことだろう。

1500円相当のお菓子がもらえるアイ・ケイ・ケイ

さて、ここから具体的に優待銘柄を5つ紹介する。なお、必要投資金額を計算する上での株価は、2016年4月6日終値を基準として計算している。

1つ目は、アイ・ケイ・ケイ <2198> 。ゲストハウス型のウェディング事業を地方に特化させて展開している企業で、既存店の売り上げが好調だと伝えられている。2016年の権利日(権利日とは、その日に株をもったまま次の日を迎えると優待をもらう権利が得られる日の事)は4月25日で、優待内容は自社特選品の菓子を100株あたり1500円相当もらえるものだ。必要投資金額は100株で6万5300円。

ワインがもらえる日本フイルコン

2つ目は、日本フイルコン <5942> 。フィルターやコンベヤーなどを製造している企業で、業績は若干伸び悩んではいるものの、株価は割安な水準で推移している。2016年の権利日は11月25日で、優待内容は100株あたり1000円相当のギフト商品(ワイン)をもらうことができるものだ。必要投資金額は100株で4万500円。

2500円相当の地場商品がもらえるヤマウラ

3つ目が、ヤマウラ <1780> 。長野県内で建築・土木工事などを行う企業で、最近ではローン金利の低下を受け、個人住宅の需要取り込みを図っている。2016年の権利日は9月27日で、優待内容は100株で地場商品2500円相当 をもらうことができるというものだ。必要投資金額は100株で4万6200円。

長期保有優遇制度もある割引券が好評!ヤマダ電機

4つ目が、ヤマダ電機 <9831> 。家電量販店の大手で、外国人観光客などによる爆買い、インバウンド需要なども期待できる企業だ。2016年の権利日は3月28日と9月27日。このように優待の中には年間2回もらえる企業もある。優待の内容は100株で優待割引券(500円券)を3月に2枚、9月に4枚もらうことができる。また、1年保有すると3月には3枚、9月には2枚が追加される長期保有優遇制度も実施している。必要投資金額は100株で5万5600円。

利回りの高さが魅力!3000円相当の割引券がもらえるきちり

5つ目が、きちり <3082> 。女性向けのおしゃれ系居酒屋「きちり」を展開しており、最近ではPOSシステムのユビレジとの提携を発表するなど、事業提携にも積極的な企業だ。2016年の権利日は12月27日。優待の内容は100株保有で3000円相当の割引券をもらうことができるものだ。必要投資金額は100株で6万2900円。

以上が筆者が注目する10万円以内で購入が可能な5つの銘柄だ。今回の5銘柄は全て購入したとしても27万500円と、初心者が株式投資を始める上でも初期資金が比較的少なくて済むものが多い。最近では上記のヤマダ電機のように、長期で株式を持つことで株主優待がより優遇されるという施策を、企業が新たに打ち出す傾向が強まっている。

また、紹介した5つのうち3つが食品や飲料などの商品、2つが割引券ということで、両方とも株主優待投資においては人気のジャンルだ。ほかにも優待には様々なジャンルがあり、調べれば調べるほどお得な優待を実施している企業が多い。今後も継続して紹介していきたい。

悪い株は買わない姿勢が重要!優待銘柄の選定基準

次に、これまでご紹介した5銘柄を選定した基準をご紹介したい。優待を実施している企業は1000社を超え、株価も優待内容も千差万別だが、よく探すことでお買い得な優待銘柄を見つけることが可能だ。ただ、優待の内容と必要投資金額のみに着目してしまうと、いわゆる「業績(企業の成績)の悪い株」を買ってしまうことにもつながりかねない。

そこで優待の選定基準として、優待の金額が安いことに加えて、企業業績の見通しが悪くないものを選んだ。具体的には、企業業績に対して東洋経済の企業業績見通しが弱気ではないものをピックアップしている(四季報欄の横についている会社比弱気でない銘柄)。

この見通しが弱気だと、企業が業績の下方修正(業績予想を悪い方へと変更すること)をする可能性が高いということになり、実際に下方修正してしまうと株価が下落して損失が出てしまう可能性が高くなるからだ。優待を獲得するための必要投資資金や優待内容の魅力度と同時に、企業の業績もしっかりと確認しておくことが、優待株投資で成功するための最も重要なポイントなのだ。銘柄の選定の基準として、ぜひこの点は参考にしていただきたい。

注意点:優待銘柄の株価は相場動向により変動します。また優待は企業の意向により変更または中止になる場合もあります。購入に際しては、ご自身で前もって調べられるようお願いします。

谷山歩(たにやま あゆみ)
早稲田大学を卒業後、証券会社において証券ディーリング業務を経験。2級ファイナンシャルプランナー。ヤフーファイナンスの「投資の達人」においてコラムニストとしても活動。2015年には年間で「ベストパフォーマー賞」「勝率賞」において同時受賞。ネットマネーや日経マネーと言った経済雑誌での執筆活動も行う。個人ブログ「 インカムライフ.com 」を運営。

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