世界の金融ITサービス企業ランキングである「FinTech(フィンテック)100」が発表され、既存のフィンテック企業上位50社のランキングの1位に中国から、インターネット専業の損害保険会社の衆安保険(ZhongAn)が選出されたことが分かった。
今回は残念ながら日本企業の選出はなかった。この「FinTech 100」は、2種類のリストで構成されていている。既存のフィンテック企業上位50社のランキングおよび新規参入企業50社のリストである。
豪フィンテックベンチャー投資企業のH2ベンチャーズおよび国際会計事務所大手のKPMGが共同で世界各国のフィンテック企業を分析したものだ。
同報告書では、テクノロジーを活用して金融サービス業界の変革を目指す、世界各国の企業が取り上げられている。それでは既存のフィンテック企業上位50社のランキングに選出された中国企業3社を紹介しよう。
衆安保険(ZhongAn) 中国発のネット保険
ZhongAnはインターネット専業の損害保険会社だ。同社はビッグデータ技術を活用し、保険商品の設計、自動引受や保険金の自動請求、さらには的確なマーケティングやリスクマネジメントに役立てている。
2013年に上海で設立された同社は中国初のインターネット保険会社であり、電子商取引を手掛けるアリババグループ(阿里巴巴集団)、ソーシャルネットワーキングおよびオンラインゲームのテンセントホールディングス(騰訊控股有限公司)、および中国平安保険(集団)の出資により設立された。
衆安保険は旅行、傷害および健康保険を主軸とした事業を展開しながらも、多様なオンライン保険サービスを中国市場に提供しており、同国のすべての階層の人々の要望を満たす商品を取り揃える。
趣分期(Qufenqi.com) 分割払いプラットフォーム
電子機器の小売企業である趣分期(Qufenqi.com)は、分割払いのためのプラットフォームを中国の学生や専門職の人々向けに提供している。
スマートフォンやノートパソコンなどの家庭用電子機器をオンラインで販売する同社だが、顧客は同社ウェブサイトから商品を購入する際、頭金の額および返済期間を選択することができる。
支払期限は商品の購入から2年以内だ。学生および若年のホワイトカラーがターゲット層とされ、商品掲載ページに支払総額や月々の支払額が明示される仕組みとなっている。
上海房多多(FangDD.com) Real Estate Techとも
上海房多多科技有限公司(FangDD.com)は、住宅購入者と住宅販売業者がネット上で直接コンタクトを取ることを可能にするプラットフォーム(インターネットサイト)を提供しており、検索連動型広告によるビジネスモデルを展開している。
同社の目標は、不動産物件、サービス、取引に関する正確な情報を伝えて、オープンかつ協力的、さらに双方に有益となる産業構造を生み出すことだ。2015年上半期には、同社のプラットフォームを通じて総額80億ドル以上の不動産取引が行われた。
この不動産マーケティング向けのO2Oプラットフォームは、ビッグデータ技術を活用して作られたものだ。この技術により、ネット上および実店舗での不動産ビジネス・住宅購入者を1つのプラットフォームで管理することが可能となり、ユーザが使いやすい物件取引サイトが実現した。
同社は、検索連動型広告を運用しながら、北京、上海および深センなど中国国内の50地域でサービスを展開している。
最後に「Fintech 100」の既存のフィンテック企業上位50社のランキング上位20社を見てみよう。
「保険」分野が1、2位独占
20位 Personal Capital(投資顧問サービス)
19位 Adyen(アジェン、決済)
18位 Credit Karma(クレジット管理)
17位 Collective Health(保険)
16位 Stripe(ストライプ、API、決済)
15位 Xero(ゼロ、ビジネス向け資金管理ツール)
14位 Motif Investing(投資信託)
13位 Square(スマホカード決済)
12位 Robinhood(トレーディング)
11位 Lufax(P2Pレンディング)
10位 Ourcrowd(クラウドファンディング)
9位 Klana(クラーナ、決済)
8位 Atom(アプリ専業銀行)
7位 Avant(貸付)
6位 Kreditech(クレディテック、ローン)
5位 Funding Circle(P2Pレンディング
4位 趣分期(Qufenqi)(電子商取引、決済)
3位 Wealthfront(投資顧問サービス)
2位 Oscar(保険)
1位 ZhongAn(保険)
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