電子マネー
(写真=Thinkstock/Getty Images)

ヤフージャパン <4689> が電子マネーへの参入を4月19日に発表した。日本において大成功を収めたともいえるインターネット企業の大手ヤフーから投入される電子マネーということもあり、消費者の選択にも影響しそうだ。ともすれば、電子マネー界の勢力図を書き換えてしまうかもしれず、その影響度合いにも注目だ。

翻って、ヤフーが参入する前の、電子マネーの構図も、決して単純ではなかった。従来から電子マネーで存在感を示してきた、Suica を提供するJR東日本 <9020> 、WAONの名で電子マネーを展開する小売り・物流の大手であるイオン <8267> らが、それぞれサービスを展開してきた。ほかにも、大手の通信会社であるKDDIも電子マネーを展開してきており、今や電子マネーは5兆円にも上る巨大市場だ。

そんな中に、インターネット大手のヤフーが参入すれば、その様子はさながら「新・電子マネー戦争」と言ってもいいだろう。激化する競争の現状やヤフーの意図を今回は、見ていきたい。

電子マネー市場は「流通系」「交通系」が主導

現在の電子マネー市場の状況を見ていきたい。調査会社マイボイスコムが約1万人に行ったアンケート調査では、最近1年間に使用した電子マネーのトップ3として、セブン&アイ・ホールディングス <3382> のnanaco(34.2%)、WAON(34.1%)、Suica(33.5%)となり、「流通系」「交通系」でトップ3を占めている。

従来から電子マネーを展開するインターネット企業である楽天 <4755> が4位にEdy(24.1%)で上位につけて、「流通系」と「交通系」の電子マネーに続いているが、3位と4位の差は非常に大きい。

なぜ、現在の電子マネー市場は「流通系」「交通系」が強いのだろうか。現在ではどうやら、電子マネーの使用場所との相関があるようだ。

それをよく表すのが総務省統計だ。発表によれば、電子マネーの利用回数が最も多かった場所は、交通機関(16.2%)、スーパーマーケット(7.4%)、コンビニエンスストア(5.5%)の3カ所となっている。4位には、飲食店(0.3%)が入っているものの、3位との差はここでも非常に大きい。

つまり、現在は、交通機関やスーパー、コンビニの小銭代わりの決済手段として電子マネーが使われていることが、総務省の発表からは窺えるのだ。楽天と同様にインターネットを主体とするヤフーの電子マネーがどのように、普及を図るのか、その施策も一つの焦点になるだろう。

「通信系」&「ポイント系」の電子マネーも続々参入

現在は「流通系」「交通系」が強い電子マネーだが、最近相次いでいるのは「通信系」「ポイント系」といった業種からの参入だ。ヤフーの電子マネー参入も、その一つと言っていいだろう。

その一つがKDDI <9433> の電子マネーだ。同社は2014年5月にau携帯契約者に対し、MasterCard加盟店で使える事前チャージ式の電子マネーカードである「au WALLET」サービスを開始。通信キャリアとして競合関係にあるソフトバンクでも、2015年2月から事前チャージ式のカードである、「ソフトバンクカード」のサービが始まっている。

また、「ポイント系」でも電子マネー参入の動きが加速している。「Tポイント」を発行しているカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)株式会社はファミリーマートと提携し、2015年6月30日から「Tマネー」という電子マネーサービスを開始している。また、ポイントサービス「Ponta」も、ローソンとJCBと提携し、「おさいふponta」というpontaカードにプリペイド機能が付加されたものを、2015年11月から発行している。

さらに、従来のポイントカードの機能を強化して電子マネーに参入する例が相次いでおり、シェアを拡大の競争も激しさを増してきそうだ。

LINE Pay ともぶつかる「ワリカン」など個人間の決済機能

「ヤフー!マネー」が従来の電子マネーと違う点は、割り勘での食事代金の決済や、オークション代金の決済といった、いわゆる個人間決済も視野も入れている点である。「LINE Pay」や、facebookやAppleが参入を検討していると報道された個人間決済サービスと、対抗するとみられている。

個人間決済市場は、今後の成長が予想される。調査会社ニールセンが発表した「日本のインターネットサービス利用者数ランキング」によると、フリーマーケットアプリであるメルカリは、2015年の利用者数が前年比211%となり、日本の上位50アプリのうち、最も利用者数が増加したアプリであった。このような動きを受け、今後個人間決済の需要が高まりを見せていくことが予想される。

さらに、個人間決済においては、テクノロジー企業も推進しており、油断できない。ヤフー!マネーと競合するかはまだわからないが、facebook が同様にメッセンジャーアプリを使った決済機能を準備しており、実現すれば競合する。また、米国で人気のあるコミュニケーションアプリであるSnapchatも、同アプリに決済機能を付加しており、個人間決済が可能。ヤフー!マネーとも機能的に重複することになる。

ヤフー!マネーが狙うクレジットカード連携で裾野拡大

では、今後の「ヤフー!マネー」はどのように進化していくことが予想されるだろうか。他社の戦略とヤフーが発表している戦略から見ると、クレジットカードとの融合を意図しているのではないかとみる向きもある。

例えば、最近電子マネーに新規参入した企業の多くがクレジットカード会社と協業の上で電子マネーに参入している。

また、ヤフーは先行投資としてクレジットカード事業に力を入れており、クレジットカード会員数を2015年3月期末の60万人から2016年3月期末の220万人と、4倍超も増加させている。

電子マネー界全体でもこうした動きがあり、クレジット、電子マネー、ポイント統合の動きは他社でも起きており、例えばJR東日本が2月に発表した「JREポイント」は、現在は駅ビルのショッピングで貯まる機能だけであるが、将来は電子マネー「Suica」のSuicaポイント、ビューカードポイントとの統合を目指している。

今後、「ヤフー!マネー」も、Tポイントやソフトバンクのポイントサービス、クレジットカードと統合したサービスへの発展が予想されそうだ。(ZUU online 編集部)

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