4月25~28日の東京株式市場は波乱の展開となった。前週は円高が一服し、日銀のマイナス金利政策の強化に関する一部報道もあり、1万7500円まで上昇した。この反動で25~27日は様子見ムードが広がって弱含み。28日はFOMC(連邦公開市場委員会)の利上げ見送りを受けて米国株が上昇したことが好感され、前場は日経平均株価が前日比243円高と堅調だったが、後場は日銀が金融政策の現状維持を公表したため急落した。

なお、先週29日は祭日のなか、為替が1ドル=106円台まで上昇した。米財務省がこのほど発表した為替報告で、日本を「監視国・地域リスト」に加えたこともあり、しばらくは神経質な展開が続きそうだ。

利益予想が市場コンセンサスに届かない銘柄が売られる

それでは、今回は東証1部の4月の「月間値下がり率ランキング」10社をみてみよう。

(1) 三菱自動車 <7211> -46.74%
(2) エンプラス <6961> -25.18%
(3) ベルシステム24ホールディングス <6183> -23.19%
(4) ソネック <1768> -22.54%
(5) ガリバーインターナショナル <7599> -22.41%
(6) サカイ引越センター <9039> -21.76%
(7) SMK <6798> -21.63%
(8) サイバネットシステム <4312> -20.70%
(9) ライトオン <7445> -20.61%
(10) ミマキエンジニアリング <6638> -20.24%

大型株、中小型株に関係なく、決算を迎えて示した利益予想がアナリストのコンセンサスに届かなかった企業の株を売る動きが目立った。

三菱自動車は予断を許さない状況続く

上記10社の中から今回は三菱自動車、エンプラス、ガリバーインターナショナルの3銘柄を取り上げたい。

三菱自動車は三菱東京UFJ銀行、三菱重工業、三菱商事の支援を受ける自動車メーカー。4月20日、軽乗用車「eKワゴン」などについて、燃費性能を実際より良く見えるようにデータを改ざんしていたと発表し、相川哲郎社長が記者会見で謝罪した。日産自動車向けにOEM供給する軽自動車も含まれており、該当4車種は生産を一時停止している。

三菱自動車は過去にもリコール隠しが発覚したことがある。今回の問題は国内外の投資家を失望させた。経営陣の責任問題や、三菱グループによる経営支援の見直しなども予想され、株価の先行きは予断を許さない状況だ。

エンプラス、光拡散レンズの競争激化で収益性低下

エンプラスは精密加工プラスチック大手。近年はLED関連事業を強化している。これまで液晶テレビの薄型化や消費電力低下に役立つLEDバックライト用光拡散レンズに関して、主要なメーカーに独占供給を続けてきたが2017年3月期から海外企業と競合する見通しとなった。このため、収益低下が見込まれている。

4月18日に、2016年3月期の決算発表を目前に控えて業績予想を下方修正した。20日には2017年3月期連結営業利益が50億円と前期から半減するとの見通しも明らかにしている。15日以降、売りが断続的に出ており、4月末まで10営業日続落となった。

ガリバーインターナショナル、創業者が名誉会長に退く

ガリバーインターナショナルは中古車買い取り大手。創業者の羽鳥兼市会長は経済誌にもたびたび登場する著名な経営者だ。ガリバー社をめぐっては、4月13日公表の決算と、20日の羽鳥兼市会長の名誉会長就任という2つの動きが材料視された。

決算では2017年2月期の連結営業利益が108億円と増益になる見通しを公表したが、アナリストの予想を下回るものとみなされ、成長鈍化を嫌気した売りが出た。20日の発表内容は、羽鳥会長が5月に代表権を返上し名誉会長に退き、経営を息子である羽鳥由宇介氏、羽鳥貴夫氏の両社長に譲るというもの。社名も7月に「IDOM(いどむ)」に改める。一代で東証1部上場の中古車買い取り大手に育て上げた創業者の退陣が、今後の業績にどのような影響を及ぼすか気になるところだ。(ZUU online 編集部)

※当記事は、証券投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。

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