自販機,コカコーラ,進化
(写真=ZUU online編集部)

日本は“自販機大国”。販売金額も、面積当たりの密度でも世界1位だ。最近は販売金額や台数の減少が止まらない。そんな流れを止めるべく、各社はIT技術を駆使して革新的な自動販売機を投入している。

相手を見極め 「イチオシ」を紹介する自販機

JR東日本などのエキナカで増えているのがタッチパネル式の自販機だ。気温や時間帯などに応じてタイムリーな商品を表示する機能を持っている。購入客が自販機の前に立つと人感センサーが購入者の年齢層と性別を判断し、属性・時間帯・気温などを加味しておすすめを表示する仕組みだ。一方向だった自販機が、双方向コミュニケーションツールへと変わってきている。

先読みできる ピーク見極めエコ自販機

蓄積したデータから、次に売れそうな商品だけを効率的に冷却する「ピークシフト自販機」もある。従来の全体冷却と比べて、「ゾーンクーリング」と呼ばれる部分冷却は熱エネルギー効率がよく、消費電力量を減らすことができ、日本コカ・コーラの場合では、10万台を超えた。夜間の電力を活用することで、日中でも最大95%冷却用電力を削減できるというエコ自販機だ。

その土地を感じさせる 方言をしゃべる自販機

ダイドードリンコが高速道路のサービスエリアなどに導入したのは方言でおしゃべりする自販機だ。お金を入れたり、商品選択ボタンを押したりすると、名古屋弁なら「よう来てくれたなも(よく来てくれたね!)」で始まり、商品を選択すると「ここであんじょうして行ってね(ここでゆっくりして行ってね)」「どこ行きゃあす?きぃつけて行ってりゃぁ!(どこ行くの?気をつけて行ってらっしゃい!)」と喋ってくれるのだ。他にも横浜弁、静岡弁、浜松弁、三河弁など、その土地ごとの言葉でおもてなしをしてくれる。

訪日外国人向け 会話できる自販機

自販機はもはや一方的に話すだけの時代ではない。アサヒ飲料などは「対話型自動販売機」の実証実験を今年から始めた。訪日外国人向けで、併設したタブレット端末を通じて購入客と英語でコミュニケーションできる。購入客の言葉をクラウド上の音声認識サービスで解析して、適切な返答を行う仕組みになっている。ディスプレイ上では商品説明をするほか、「日本で人気のある商品」「寒い時にぴったりな商品」など、具体的な商品の提案もできる。今後は中国語などにも対応を拡大するという。

コンビニ世代の若者へ 自撮りができるLINE自販機

キリンビバレッジが昨年導入したのは、飲み物を購入すると内蔵カメラで自撮りができる自販機だ。インテルの技術とLINEのビジネス用ソリューションを活用し、撮影した写真はデザインフレームで装飾して、LINEで受け取ることができる。様々な情報を発信するシステム「デジタルサイネージ」の機能も持っているため、動画広告や災害情報なども発信することも可能だ。

ポイントを貯めてお得にもう1本 スマホ連動自販機

日本コカ・コーラとダイドードリンコはスマートフォンと連動した自販機のサービスをスタートさせた。日本コカ・コーラはスマホを自販機に近づけて飲料を買うとポイントが貯まり、15本買うと1本無料になるチケットがスマホに届く。ダイドードリンコも4月から購入金額をポイント化してポイント数に応じて賞品応募ができるという新サービスを開始した。デジタルマーケティングを取り入れた自販機は今後のトレンドになるかもしれない。

みんなの思いを誰かのために 社会貢献型自販機

災害時に無料の商品供給拠点になったり、非常連絡基地の役割を担ったりするなど、社会貢献のニーズに応えることも自販機は求められている。心室細動時の応急処置に使用するAED(自動体外式除細動器)を付帯した自販機も近年増えてきている。

購入代金の一部を募金できるチャリティー自販機も注目されている。乳がん早期発見の啓発運動を支援するピンクリボン、森林保護、難病サポート、赤十字支援、盲導犬育成、野生動物の支援、子ども虐待防止などさまざまな支援へ募金ができるものがある。

たかが自販機、されど自販機。IT技術によって汎用性と付加価値を持って、自販機の復権につながるか、さらなる進化にも注目だ。(ZUU online 編集部)

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