民泊ビジネス,旅館業法
(写真=Thinkstock/Getty Images)

最近、メディアを賑わせている民泊。「自分には関係ない」と思う人でも、民泊に参入している人の平均年収が95万7000円にもなると聞けば、「そんなに儲かるの?」と興味が湧くのではないだろうか。

民泊とは何か?

民泊事業には不動産関係者などプロ以外からの参入も多い。その仕組みを簡単に説明しよう。

民泊とは、空きスペースを宿泊施設として貸し出すサービスのこと。最大手はアメリカ発のAirbnbである。このサービスの当事者は、ゲスト(宿泊客)、ホスト(貸主)、Airbnb社の3者。場合によっては、ホストは客を迎える主人役のみを勤め、スペースを貸すオーナーが別にいることもある。

ホストの平均年齢は37歳。「アート、デザイン、クリエイティブサービス」の人がもっとも多く、シニア層も5%を占めているという。金儲けからは一見、遠いような人たちも多く参入しているということだ。

民泊サービスを始めたAirbnb社のサイトには、泊まれるものなら基本的に何を登録してもいいことになっている。お城や船、ツリーハウス、面白いのになると灯台などといったものまで登録されている。

たとえば日本でいうなら、外国人が好みそうな純和風の部屋だったり、アニメの主人公の部屋を再現したものなど、ホテルにはないさまざまな工夫を凝らした部屋が登録され、人気を博している。素人でも工夫次第で十分プロに対抗できる余地があるのである。

民泊の5つの成功要因

では次に、筆者が考える民泊ビジネスの成功要因を見てみよう。ここに民泊が儲かっている理由がある。

1.人々の需要に応えるサービス

これまでのホテル業界では多人数への対応が難しく、「みんなで一つの部屋に泊まりたい」という要望には応えられず、個性的な部屋にになかなか応えられなかった。それに応えたのがAirbnbである。

こうした事情を反映して、Airbnb内でも戸建てや広い部屋、2部屋以上ある物件には人が集まりやすくなっている。

2.シェアリングエコノミー

このサービスは、もともとアパートをシェアして住んでいたAirbnbの創業者3人が、家の近くで開かれた見本市に客が殺到した結果、泊まるところがないのを見て、自分たちの部屋を宿泊場所として提供したことから始まった。

ホテル業界も商売である以上、必ず採算のとれる場所でないとホテルを建設することはできない。今までは地方の突発的なイベントや祭りなどには対応しきれていなかったが、これをAirbnbが一挙に解決したわけである。

現在はカーシェアリングやシェアオフィスなども定着しており、民泊は時代にマッチしたサービスだといえるだろう。

3.シンプルなビジネスモデル

基本的にAirbnbはホストとゲストをつないでいるに過ぎず、実際のやりとりは両者の間で直接行われる。

ホストとゲストはAirbnbのシステムを通じて知り合い、やりとりをした後に宿泊が決定するが、代金はAirbnbが代行徴収し、手数料を差し引いた後にホストに送金される。ホストとゲストの国が違っても通貨換算はAirbnbがやってくれるし、とりこぼしもない。

システムの利用者双方は取引終了後にレビューを書き、それがAirbnb上ですべて公開される。レビューは集客と良い顧客を選定する際の便宜を図っており、それが利用者の行動の抑止力にもなっている。シンプルで透明性の高いビジネスモデルが、Airbnbが成功した大きな要因である。

4.観光客の増加

2015年の1年間に日本を訪れた外国人数が1974万人に達したことを受けて、日本政府は訪日外国人観光客の目標値を2020年に4000万人、2030年には6000万人とすることを決定した。

これから東京オリンピックも控え、宿泊施設が不足することは確実である。現在、すでにホテル事情は逼迫しており、特に関西方面ではホテルの稼働率がほぼ100%に近いところもあり、宿泊費が高騰している。こうした需要に応える手段として、民泊に大きな期待がかかっている。民泊なら特需後も建物が用なしになる心配はない。

5.大手が参入していない未開拓分野

民泊とは新しく誕生したばかりの業界である。当然、法律も整備されておらず、それに近い旅館業法を当てはめている現状。大手はコンプライアンスの兼ね合いがあり参入が難しい。Airbnbの登場を受けて、すでに各国は急ピッチで宿泊所の法整備に取り組んでいる。

もともと日本の旅館業法とは1948年に公布されたものであり、早急な対応を迫られている。しかし各界の反対などもあって遅れをとっているのが現状で、それが大手参入の障壁ともなっている。民泊事業は、まだまだこれから伸びる余地が大きいのである。

民泊の将来性

民泊は、既存の業界ではこれまで拾いきれなかった需要を掘り起こしたという意味で、画期的なシステムである。これによって消費者の選択肢は一気に広がり、人々の生活をより便利に、豊かにすることに貢献している。

こういうサービスが、今後もグレーのままであり続けるとは考えにくい。生まれたばかりのため紆余曲折はあるだろうが、発展していけばやがて質の悪い業者は淘汰され、ますます消費者の使い勝手がよくなることは間違いないだろう。

世界からの旅行者が流入の一途をたどるのは、このご時世で滅多にないな貴重なビジネスチャンス。「おもてなし日本」の看板を守るためにも、大局的に見たときに規制より緩和に向かうことは火を見るよりも明らかである。

俣野成敏(またの なるとし)
1993年、シチズン時計株式会社入社。31歳でメーカー直販在庫処分店を社内起業。年商14億円企業に育てる。33歳でグループ約130社の現役最年少の役員に抜擢され、40歳で本社召還、史上最年少の上級顧問に就任。『プロフェッショナルサラリーマン』(プレジデント社)や『一流の人はなぜそこまで◯◯にこだわるのか?』(クロスメディア・パブリッシング)のシリーズが共に10万部超のベストセラーに。2012 年に独立。複数の事業経営や投資活動の傍ら、「お金・時間・場所」に自由なサラリーマンの育成にも力を注ぐ。

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