5月26日から27日に三重県の志摩市で、G7伊勢志摩サミットが予定されている。そもそも、サミットとは、「山の頂上」という意味の英語で、主要先進7か国(日本、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、カナダ)の首脳(と、EUの欧州理事会議長、欧州委員会委員長が集まることから、G7サミットと呼ばれているのだ。

そして、今回のサミットのテーマは、「世界経済・貿易」、「政治・外交問題」、「気候変動・エネルギー」、「開発」、「質の高いインフラ投資」、「保健」、「女性」の7分野となっている。よって、これらを踏まえたうえで、サミット関連銘柄を考えていこう。

「世界経済・貿易」「政治・外交問題」関連

「世界経済・貿易」については、新興国を中心とした景気減速のため、外需関連企業の多くが影響を受けている。同時に、資源価格が急落していることで、大手総合商社の三菱商事や三井物産が赤字決算を発表し、株価が暴落したことは記憶に新しいはずだ。世界経済の成長やリスクへの対処について何らかの決定がなされた場合でも、相場全体の底打ち期待などが台頭することはあっても、特定の銘柄が上昇するとは考えにくい。

「政治・外交問題」も、基本的には、地域や世界の平和のために世界レベルで道筋を示すものであるため、具体的な銘柄は想定しづらい。しかしながら、北朝鮮のミサイル発射などが続いている現状を考えれば、サミットの内容次第では、防衛・軍事関連銘柄が注目されそうである。例えば、三菱重工業 <7011>、川崎重工業 <7012>、三菱電機 <6503>などは抑えておくと良いだろう。特に、大型客船事業で不審火が発生し、納期が遅れたことで巨額の特別損失を計上した三菱重工業は、株価も昨年から大きく下落しており、投資妙味があるのではないだろうか。

「気候変動・エネルギー」「開発」「質の高いインフラ投資」関連

「気候変動・エネルギー」関連では、昨年12月に採択された「パリ協定」をもとに議論を行うことを考えれば、温暖化等の環境関連銘柄が物色される可能性が高い。例えば、省エネ支援事業や木質バイオマス発電事業を行っているエフオン(旧ファーストエスコ) <9514> や、環境戦略デザイン事業や地域デザイン事業を行うアミタホールディングス <2195> などが挙げられる。

「開発」「質の高いインフラ投資」については、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」および、「質の高いインフラ・パートナーシップ」の実施が中心であり、政府開発援助(ODA)に関する議論が行われるはず。

ただ、官民連携型の取り組みも増加しており、具体的には、住友商事 <8053> によるインドネシアの鉱山開発、商船三井 <9104> 、伊藤忠商事 <8001> によるベトナムの国際港および周辺インフラ整備、ツムラ <4540> によるラオスの生薬栽培、テルモ <4543> によるメキシコへの医療技術研修提供などがある。

よって、今後も大手総合商社などで期待されるものの、無償資金協力も多いため、短期的な上昇というよりは、社会貢献型の企業としての評価による、中長期的な視点のものと考えられる。

「保健」「女性」関連

「保健」では、2008年の洞爺湖サミットで、感染症対策や母子保健などを含めた「保健システム強化」の包括的取組が合意されたことから、さらに発展したユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(世界中のすべての人が生涯、必要な基礎的な保健サービスを負担可能な費用で受けられることを指す)の推進に向けた協議が行われる。

よって、JICAやWHO、世界銀行、NPO、社団法人、財団法人などの活動がメインと考えられるものの、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジでは、抗レトロウィルス治療などを対象としていることから、HIV関連医薬品の研究、開発、販売に特化したヴィーブヘルスケアに出資している塩野義製薬 <4507> の上昇が期待できるのではないだろうか。

「女性」関連では、「女性が輝く世界」作りに向けた取組が行われており、今回のサミットでも、女性活躍推進に向けた国際的機運を高めていくような議論が想定される。日本では、すでに経済産業省と東京証券取引所が共同で、女性活躍推進に優れた上場企業「なでしこ銘柄」が選定し、発表されている。

なでしこ銘柄は、東証一部上場企業の中から、業種ごとに女性が働き続けるための環境整備や女性人材の活用を積極的に進めている企業が選定されている。2015年度は45社が選ばれた。

今回はその中でも、初年度である2012年度より4年連続で選ばれているのは、日産自動車 <7201> 、東急電鉄 <9005> 、KDDI <9433> の3社のみとなっていることから、注目しても良いのではないだろうか。(ZUU online 編集部)

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