塩漬け株解消法,決算見通し
(写真=PIXTA)

決算期末も終わり、株式市場全体としては底入れ感は出ているのですが、ここからの決算発表や2017年3月期決算の動向などが気になって来ます。好調な決算を期待して、チャート面で底値をつけたと考えて買ってみて、ふたを開けてみると、決して悪い決算ではないものの、今一つ物足りないとか、今期業績に対してかなり慎重な見方となっているということも良くあることです。

特に売り材料と言うほどでもないにもかかわらず、証券会社のアナリストなどの評価が下がったから売られるというケースも多いと思われますし、その際に例えば投資評価などが修正された場合に損切りをした方がいいのか、しない方がいいのか非常に迷うところです。

チャートだけを頼りに売り買いをする、損切りするかどうかを決めるという手もあるのでしょうが、実際にはチャートでも売られ過ぎとなる場合などは「戻りそうだから売りたくない」と言うのが人情と言うものでしょう。

結論から言えば、業績面で下方修正されたからと言っても、割高感が出ていない、業績が悪くなってもまだ買われすぎという水準でない場合など、「下方修正」や「投資判断の引き下げ」という言葉に反応してしまったような場合などは、塩漬け覚悟で損切りをせずにいるとあっさりと「窓」を埋めてくるように戻るケースも多いのではないかと思います。

また、為替の影響の大きな企業などは想定為替レートを慎重に見るケースも多く、実際の為替水準などから結局は上方修正含みとなることも多いのではないかと思います。特に、証券会社のアナリストなどが「目標株価」などを設定しているケースなどでは大げさに設定するケースなどもあり、注意が必要と言えるでしょう。

基本的には日本では金融緩和傾向が続いているのですから、ここから大きく業績が落ち込むということは何か構造的な要因などを抱えているということです。緩和傾向を嫌うような政策にならない限りはショック的な業績悪化は避けられるということなのだと思います。と言うことは中長期的に見れば「買える」と言うことで、もし高いところを買っていたとしても、保有を楽しむということで良いのでしょう。つまりは「時間」を味方にしてしまうということです。

このように「時間」を味方にすれば「塩漬け」と言うことではなく、例えば極端な話、10年で2倍になるという事でも良いのですし、10年で50%の利益でも、十分と言うことではないでしょうか?

我々個人投資家の利点、機関投資家などとの一番の違いは「時間」がたっぷりと使えるということなのです。デイトレードなどと言う短期の売買もそれはそれでいいのでしょうが、株の売買を生業としているのでなければ、「時間」を使って大きな流れを取ることがしっかりと儲ける秘訣であり、投資で成功する、特にテクニックを必要としない方法と言うことになるのでしょう。

塩漬け前提として長い目で見ること

例えば、日清製粉 <2002> のチャートを見るとわかるのですが、2013年の高値で買ったとしても、毎年、一株20円(~22円)の配当があります。株価は1250円程度であったものが2000円水準まで上昇、株数も株式分割で100株が121株になっているのです。つまり、100株買ったとすれば、4年間で配当が8200円、株式の金額は12万5000円が24万2000円に増えたということになります。

日清製粉

また、メディシノバ <4875> )のように、配当はないものの、株価が200円以下であったものが4倍以上になっている株もあるのですから、2012年に買ったときに1円や2円にこだわって買いそびれていたとすれば、その後の利益を得ることができなかったということになるのです。つまり時間を利用すれば、細かい金額に固執することも、1円でも安く買うテクニックを習う必要もないということになるのです。

メディシノバ

大きな流れを見てしっかりと「投資」を考えれば、塩漬け株を解消する必要もないのですし、時間を利用することも「塩漬け株解消法」の一つと言うことになりそうです。ただ、気を付けなければならないのは先月号でも述べたように「塩漬け」を前提として長い目でみるということが大切なことなのです。

清水洋介 証券経済アナリスト
大学卒業後、大和証券、ソシエテジェネラル証券、マネックス証券を経て投資情報サービス会社「ピクシスリサーチ」を設立(現・アルゴナビス)、「チャートの先生」「投資のプロ」として、講演やセミナー活動等を活発に行なっています。テレビや雑誌などでも投資についての解説、講義なども行なっています。(記事提供= 株主手帳 5月号)

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