麻生太郎副総理・財務相は13日に物価連動国債の保有を2015年1月から個人投資家による保有も認める方針を表明しました。物価連動国債は利子所得について金融機関が免除になる一方で、個人の場合には源泉徴収をする必要があったため、満期までの間、誰が保有しているのかということを把握することがネックとなっており、税制上の理由で個人による保有が認められていませんでしたが、物価連動に合わせて、元本が増加する部分についてはキャピタルゲイン課税として申告納付させることで個人保有を認める方針です。
今まで、個人が物価連動国債に投資しようとする場合、投資信託を通じてしか投資することができませんでした。麻生太郎副総理・財務相は記者会見で「個人による保有は禁止していたが、デフレからの脱却を目指す中、個人からのニーズに応えるのも必要」と語っています。物価連動国債は物価が上昇しても実質的に資産価値が目減りしないため、国内景気の回復が続けば個人の需要も見込めると判断したようです。
物価連動国債は全国消費者物価指数(生鮮食品を除く総合指数。「CPI」と略されることもあります)に連動して元金額が変動する国債です。2008年に発行を中止していましたが、2013年に発行を再開しています。通常の国債は元金額が固定されており、デフレーションの際には実質的な資産価値が上昇しますが、インフレーションが起きた際には、資産価値が目減りしてしまうという特徴があります。そのため、インフレヘッジには向いていない投資商品となります。
物価連動国債は物価が上昇すれば、元金も増加しますからインフレーションにより資産価値が目減りするということはありません。表面利率は発行時に固定されますが、物価上昇により想定元金額が増加すれば利子の額も増加します。インフレーション時には投資対象から外さざるを得なかった国債が今後はラインナップの一つとして考えていくことができ、投資対象の拡大につながります。日銀がインフレ目標を2%と設定してる中で、個人にとっては注目すべき投資商品と言えるのではないでしょうか。
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