アルゴリズムは「BOJ said(日銀いわく)」に反応する?
今回の「日銀:金融機関への貸し出しにもマイナス金利を検討-関係者」という報道では、英文でも「BOJ Officials Are Said to Eye Possible Negative Rate on Loans」いうヘッドラインが流れた。市場が大きく動くきっかけをつくったHFTのアルゴリズムは、おそらく「BOJ(日銀)」「Said(いわく)」「Negative Rate(マイナス金利)」を読み取り、売買が執行されたのだろう。イベント・ドリブン型のHFTは、FXや日経平均先物などいろいろな商品を組み合わせて、目に見えないようなスピードで発注を繰り返すのだ。
今回のキーワード以外でも、「FRB(連邦準備制度理事会)」「ECB(欧州中央銀好)」「EASE(緩和)」「TIGHT(引き締め)」「HIKE・RISE(上げる)」「LOWER・CUT(下げる)」などを自動的に読み込むと見られている。
過去にも、こういった動きは何度も起きている。代表的な例が、1月29日の日銀が決定会合でマイナス金利を導入した時の動きだ。情報ベンダーから「日銀マイナス金利導入」が流れると、「日銀」「マイナス金利」に反応したと思われるHFTのFX・日経先物の発注がトリガーとなり、日経平均は一時600円高、ドルも121円まで急騰した。これがアルゴリズム取引の初動だ。
その後、専門家のコメントで、銀行株の収益にはネガティブなこと、欧州ではマイナス金利導入も通貨高は解消されていないことなどが伝わり始めると、為替も日経先物も逆回転をはじめ、日経平均は600円高から約270円安まで急落、ドルも121円台から119円台前半まで急落した。まさにアルゴリズムが市場を振り回した典型例だ。
スピードではかなわない分、内容をしっかり判断
HFTのアルゴリズム取引が増えてきたことで、相場の変動率も上がっている。2015年の日経平均の前日比の変動幅は平均179円だったものが、2016年は4月末までで265円と値幅で86円、率にして48%も増えた。
毎月のように、日銀の追加金融緩和期待、いわゆる「日銀トレード」など相場が動き、期待が外れると下げるという展開に振り回されている。
アルゴリズム取引が相場変動のトリガーになってしまうことは仕方ない。最大の対処方法はアルゴリズム取引とスピード競争をしないことだ。スピードと資金量ではアルゴリズム取引に勝てるわけがない。嵐の時は静観する勇気も必要だろう。
個人投資家ができる事は、重要な政治・経済イベントや経済指標の前にストラテジストの意見や市場のコンセンサスなどを参考に自分の考え方を整理しておくことだ。そして、ヘッドラインで短期的に動くのでなく、Twitterを見て情報収集するなど内容をしっかりと判断して、自分の考え方に沿って中長期的な立場から投資行動を起こすことが大切だ。「そんなカンタンなこと?」と思われるかもしれないが、少なくとも自分で判断するための情報収集をして判断をすることが大切なのだ。(ZUU online 編集部)
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