伊勢志摩サミットを来月下旬に控え、監視カメラ・防犯カメラを中心とするセキュリティ関連銘柄に注目したい。
15年11月のパリ、16年3月のベルギーでのテロ事件以降、日本でのテロ懸念の更なる高まりを指摘する報道が散見される。また、昨今の山口組分裂抗争の影響もあってか、公共施設や公共交通機関での監視カメラ・防犯カメラの設置台数は増えているもよう。
18年には4320万台IPカメラの割合は6割
東急電鉄は16年3月、鉄道車内の防犯対策として20年までに全車両に防犯カメラを設置すると発表したほか、JR西日本も東海道・山陽新幹線の車両に防犯カメラを増設すると発表している。
矢野経済研究所の調査(15年8月発表)によると、監視カメラの世界市場規模はメーカー出荷台数ベースで16年は3240万台、18年は4320万台と予想されている。また、そのうちネットワークにつながるIPカメラの台数は16年に1290万台(全体の約40%)、18年に2600万台(同60%)と、その割合も絶対数も大幅に増えていくと予想されている。
同調査からも分かるように、監視カメラはこれまでのアナログベースの単体のものから、クラウド技術や顔認証技術、人工知能技術の高まりとともに、デジタルベースとなりネットワークにつながることが前提となりつつある。
これはとりもなおさず、人工知能(AI)による監視の自動化やIoT技術を取り入れたシステム化が進んでいると考えられ、関連市場を含めるとその規模は更なる拡大が期待されよう。
守りだけでなく攻めにも使用 サイバー攻撃など脅威も
また、カメラがIoT機器の1つとして使われたりドローンに搭載されたりすることによって、防犯・防災などの守りの面だけでなく、駅の混雑状況の把握や店舗の顧客動線の可視化など、攻めの面でも活用されつつある点も見逃せない。
一方で、カメラがネットワークにつながることによって、新たなセキュリティ危機(カメラのハッキング懸念など)が生まれることになる。
報道によれば、情報システムセキュリティーを専門とする横浜国立大学では15年4~7月に、同大学のネットワークへ約90万回のサイバー攻撃を確認、調査した結果、世界各国の火災報知機やIP電話、ビルの空調制御システムなど、3百種類超のIoT機器約15万台がその発信源だったことが判明したと伝わっている。
IoT機器はサイバー攻撃の踏み台ともなっており、これらを予防・回避するための二次的な情報セキュリティ関連需要にも注目したいところ。
今後は関連銘柄にも広がりが IoTやドローンにも注目
監視カメラの関連銘柄としては、キヤノンやソニー、あいHDのほか、ユビテックなどが知られている。
しかし、上述したように監視カメラはIoT端末としてネットワークにつながったりドローンに搭載されたりすることから、今後は監視カメラ関連銘柄が動意付くと同時に、IoT関連銘柄やドローン関連銘柄も物色される可能性が考えられよう。ジグソーやネクスグループ、菊池製作所などの中小型の関連株の物色動向にも注目したい。(記事提供= 株主手帳 5月号)
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