中国最大のオンライン市場グループ、阿里巴巴集団(アリババ・グループ・ホールディング)の金融子会社アント・ファイナンシャル・サービス・グループが、上場に向け本格的に準備中であることが複数のメディアによって報じられた。

アントは中国オンライン決済の5割、モバイル決済8割を牛耳る「Alipay」を欧米に進出させるなど、一気に事業を拡大しており、現在実施中である資金調達ラウンドを通して最低35億ドル(約3852億4500万円)の獲得に成功すれば、時価総額が600億ドル(約6兆6042億円)に跳ね上がることになる。

報道によると香港証券取引所と上海証券取引所での上場が検討されているそうだが、中国では近年比類を見ない大型上場となるため、投資家の期待と注目が集まっている。

時価総額7兆円なるか 期が熟しての上場

かねてからアリババのジャック・マー会長は「期が熟せばアントを上場させる」という意向を示していた。

さらに「過去3年間の累計利益および売上が460万ドル(約5億632万円)以上、キャッシュフローが5000万人民元(約8億4106万円)以上」といった中国の上場審査基準を優に満たしていることから、今年上旬から上場の可能性が関係者の間で話題になっていたようだ。

2017年の上場を目指しているといわれているが、時価総額600億ドル(約6兆6042億円)規模の企業上場は2010年に上海で上場した中国農業銀行以来となる。

アントは本国で4億5000人を上回るユーザーを誇るAlipayを通して投資商品「余額宝(Yu'E Baeo)」や小口融資商品「?蟻」を販売するなど、2004年の設立以来、確実に勢力と事業規模を拡大してきた。

昨年発表された2017年までの平均成長率は、売上高49.6%、純利益63.5%と自信のほどがうかがわれる見通しだ。

アントの報酬、配当面は実質的にはアリババのエクゼクティブの支配力が強く、米国証券取引委員会の発表ではアントの3分の1にあたる株を所有する権限が与えられている。

正確な数字は公にされていないが、2014年10月から12月にかけて5億200人民元(約84億5669万円)がアリババに配当されていることから、同期間のアントの税引き前収益は少なくとも13億人民元(約218億9982万円)と見積もられている。( FinTech online編集部

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