日銀のマイナス金利導入で、高金利商品に人気が集まる中、注目されているのが百貨店積み立て。女性がコツコツ積み立てて、満期金で高価なものを買うというイメージがあるかもしれない。金融商品とは毛色が違うが、身近でお得な積み立てとして始める男性も増えてきている。

1年積み立てると1カ月分上乗せのシステム

毎月一定額を積み立てると、1年後の満期時には12カ月分の積立額に1カ月分がプラスされた金額で商品券やプリペイドカードなどで受け取れる、というのが一般的だ。

積立を始めるには、「友の会」会員になることが前提の場合が多いのだが、三越・岩田屋・伊勢丹共通の「エムアイ友の会」は、3つのデパートすべてで使えるため、人気の友の会だ。積立金額は5000円~50000円まで、期間は6カ月と1年、全6パターンから好きなものを最初に選ぶ仕組みである。1年積み立てのコースを設定している百貨店が多いが、「エムアイ友の会」のように、6カ月コースを設定しているところもあるので、利息額は減るが短期間でも楽しめる。

今回は月々1万円積み立てたと仮定して見ていこう。

金利15%、非課税、優待豊富……メリットは3つ

1つ目の魅力は高いリターンだ。1年間積み立てると合計12万円、受け取れる商品券や商品カードは13万円分だ。これを利回りに換算してみると、13万÷12万=1.083%で年間8.3%の金利がついている計算だ。月々の積立金額に金利がつくので、複利で約15%分の金利がつくというわけだ。100万円を金利0.025%の1年もの定期預金として銀行に預けても、利息はわずか250円(税抜き)しかならないのを考えると、魅力的なリターンである。

2つ目の魅力は非課税というところだ。普通預金・定期預金など多くの預金商品は、一律20%が引かれるため、ただでさえわずかな利息がさらに目減りするので、ガッカリ度は大きい。先ほどの250円の利子の場合、さらに目減りして200円になってしまう。2037年末までの約20年は、復興特別所得税も上乗せされるため、20.315%が引かれる。20%でも、20.315%でも大きく目減りすることには変わりない。しかし、百貨店積み立ては預金ではないので、税金は引かれることはない。現金で使えるわけではないにしても、まるまる自分の手元に入るという嬉しい話だ。

3つ目の魅力はさまざまな会員優待だ。レストラン・ホテル・美術館の割引、会員限定の劇場招待、お歳暮やお中元の割引(5%、10%など)、会員限定のセールや、デパート主催のイベントが無料といったところもある。会報誌を出しているデパートもあるので、自分が使いたい施設と提携していたり、割引率の高い優待などをチェックしておきたい。

利回りだけで見ると損をする 見ておきたいデメリット3つ

1つ目のデメリットは、当然のことながら、積み立てた百貨店でしか使えないということだ。積み建てる百貨店でよく買い物をするなど利用頻度が高いのなら、有効活用できるだろう。そうでない場合は満期金を無駄にしかねない。

「好きな店の揃ったデパートだから大丈夫」と思っていたら、その店舗が閉店していまい、遠方まで行かなくてはならなかったというのも実際にあった話だ。

2つ目のデメリットは、元本保証がないことだ。銀行預金とは違い、積立金には元本保証はなく、最悪の場合、1円も戻ってこない可能性もある。利回りが良いからといって、あまり大きな額を積み立てることはお勧めしない。「友の会」に入りたいデパートの経営状況まで、事前に調べておこう。

3つ目のデメリットは紛失・盗難時の保証がないことだ。優待分も含めると、最大13万円チャージされていることになる「友の会」カード。紛失したり、盗難に遭ったりして、第三者に使われてしまっても、クレジットカード等と違い一切の補償は受けられない。単に紛失しただけで、使用されていない場合は再発行が可能なので、それぞれのカードの説明書は確認しよう。

転売で損をする?使い倒す最後のポイント

自分では使い切れなくても、もらった金券は無駄にしたくないと、金券ショップへの転売を考える人もいるだろう。商品券という形であれば、転売はできるが会員カードにポイントとして付与される場合には、転売できないので事前に確認が必要だ。

転売するにあたっても、買取額は額面より10%くらいは下がるため、自分の積み立てた元本以上の買取額か、複数の金券ショップを回るのもありだ。必ずしも転売で利益が出るわけではないのを忘れずに。

目的と方針を決めてスタートすると、非常にお得な百貨店積み立て。自分の消費行動を考えつつ、メリット・デメリットを踏まえ検討したい。(ZUU online編集部)

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