不動産投資についての失敗事例を学ぶことで、成功をより確実なものにしよう。初心者が失敗しがちな事例を研究し、不動産投資の落とし穴を避けることができれば安心して資産形成に励めるというもの。今回は地主さんのための土地活用で「やってはいけない」ことを紹介する。今はサラリーマンでも、相続で実家を取得することもあるはず。ぜひあなたも覚えておいてほしい。
「一括借上げ」に目がくらんではいけない
実家や土地を所有している場合、土地活用と言えば賃貸アパートの建設がまず浮かぶ。そこでハウスメーカーさんに声を掛けると提案されるのが「一括借上げ」だ。「一括借上げ」とはサブリース方式とも呼ばれ、主にハウスメーカや不動産管理会社が土地・建物を一括で借り上げ、運営を全て引き受ける賃貸システム。空室の有無にかかわらず、一定額の査定家賃(満室の80~95%程度)を一定期間保証してくれる。30~35年保証が一般的。
オーナー側からすると、募集事務や入退去の立ち合いもなく、空室の心配も不要な、とてもありがたいシステム。自宅から物件までが遠く、あまり管理に労力をかけられないとか、サラリーマンで賃貸事業に使える時間が少ないという方にはとても適したシステムだ。
ただ契約する前にちょっと待って欲しい。最大の注意点は理解しているだろうか? それは「査定家賃には更新がある」ということ。一定期間ごとに査定家賃の見直しがあるのだ。
つまり最初は月額40万円の収入でも、更新の度に35万、30万と下がる可能性がある。最悪、ローンを組んでいる場合、返済額を下回ってしまう可能性すらある。実際に値下げによるトラブルや裁判も発生している。
いざという時のために、契約前に次の4つはチェックしておこう。
・賃料の見直しまでの免責期間(固定期間)は何年か
・更新サイクルは何年毎か
・契約を解約する場合の条件は
・リフォーム工事やメンテナンス費用の分担は
まずはこれらを確認した上で「一括借上げ」を検討してほしい。
契約条件以外に注目したい2つのポイント
さらに、契約条件以外のとっておきの不動産投資家目線のチェックポイントも2つお教えしよう。
1)家賃下落の長期予想を立てる
2)返済期間における残債利回りを意識する
1)査定家賃の更新と長期的な家賃下落は避けられないとしても、将来の値下がり程度の予想がつけば、事前に準備ができる。では、どうやって10年後の家賃の予想をするのか? 将来のことは誰にも分からないが、類推することはできる。
それは、近隣の築後10年の物件の家賃相場を調べればいいのだ。その家賃と新築家賃とを比較することで、10年後にあなたの物件がどれだけ値下がりするかを推測することができる。
賃貸需要が薄く中古物件が大きく値下がりする地域か、賃貸需要が旺盛で中古でもさほど値下がりしない地域かが分かれば、ハウスメーカさんの提案の良し悪しも正しく判定できるというもの。
2)残債利回りとは、ローン残高からみた家賃収入の利回りのこと。家賃が年額500万円で、ローン残高が5000万円なら残債利回りは10.0%になる。これが、返済が進みローン残高4000万円に減れば、残債利回りは12.5%だ。
この利回りと市場の売買物件の利回りを比較するのだ。「市場利回り<残債利回り」になれば、今すぐ売却してもローンは残らないという事。
この残債利回りを意識しておけば、いつ売却するのが妥当か、出口戦略の参考になる。もちろん売却せず持ち続けるという選択肢でも結構だ。
この2つのチェックポイントで「一括借上げ」に振り回されるのではなく、うまく「一括借上げ」をぜひ使いこなして欲しい。
山本 常勝(やまもと つねかつ)
サラリーマン不動産投資家。定年の声が近づく中、自分年金作りを目標に53歳から本格的に不動産の勉強を始め、数多くの不動産を取得して賃貸事業を拡大、2.7億円の資産形成に成功する。登録メンバー1600名を誇る不動産投資サークル「ふどうさんぽ」事務局を務めながら、ファイナンシャル・プランナー(AFP)としても情報発信中。
【編集部のオススメ記事】
・「信用経済」という新たな尺度 あなたの信用力はどれくらい?(PR)
・資産2億円超の億り人が明かす「伸びない投資家」の特徴とは?
・会社で「食事」を手間なく、おいしく出す方法(PR)
・年収で選ぶ「住まい」 気をつけたい5つのポイント
・元野村證券「伝説の営業マン」が明かす 「富裕層開拓」3つの極意(PR)