注目すべきは、日本でも起こりうる「選挙のトラップ」が起きたことだ。離脱はないだろうという世論調査の観測を信じ込んだこと、自分の一票など全体には影響ないだろうというあきらめ。事前予想が狂った最大の要因は各世代の投票行動を読み切れなかったことに尽きるのではないか。その結果、英国発のツイッターからは、若者の犠牲のうえに高齢者が得をする社会構造に対する若年層の不満が見て取れる。

若年層の得票率は依然として低いまま シルバー民主主義の弊害

日本の人口構成を英国と比べると、年少人口比率、出生率(TFR)で英国を下回り、老年人口比率では同国を上回る。それでも日本の若者の得票率は低いままだ。平成に入ってから衆参合わせて15回の国政選挙のうち9回で、投票率が60%を切っている。背景にあるのは、若年層の政治離れ、無関心と言っていいだろう。

選挙権が18歳まで引き下げられたことは一つの改善だ。世界192カ国のうち18歳から選挙権が与えられている国は176カ国。2007年の法改正で選挙権年齢が16歳にまで引き下げられたオーストリアのような国まであるのだ。

では、10代の新有権者の参加は、どれほどのインパクトとなるだろうか。前回選挙の時点で全有権者のうちシェア19.3%を占めた20~34歳の若年層。新たに加わる約243万人を合わせると、18~34歳の若者有権者層は全体の20.7%に達する。ただ、前回と同じくらい高齢層が選挙に行くとすれば、投票総数の35.0%は高齢者票だ。若年層の票は直接的に影響をもたらすことにはならない。だが、投票率から関心の度合いは伝わるだろう。

1票の格差が叫ばれて久しい。「憲法改正」以外に国民投票ができない日本では、英国のように経済に直接的な影響を与えることは起こりにくいが、シルバー民主主義の弊害は既に起こっている。これを是正する意味でも、若者たちを中心に投票率を引き上げてゆくことが、やはり重要な課題となろう。(岡本 流萬)

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