自社のツールに不満足のマネージャーが半数以上

ウェルス・マネージャー側から見たデジタル化の最大の利点は大きく4つ挙げられている。いずれも8割以上のマネージャーが利点だと答えたものだ。「顧客との共同作業の向上」、「顧客データを最大限に活かした、利益創出の可能性の特定」、「書類事務の省略による経費節減」、「顧客のニーズに見合った投資プランの提案」だ。

ウェルス・マネージャーが最も重要視しているデジタル・ツールはソーシャル・メディアだ。40歳以下の若いマネージャーの間で70%、60歳以上の熟練マネージャーの間でも33%が活用していると答えている。iPadの利用も顧客からの要望が高く、スマートフォンやソーシャルメディアとともにすっかり定着している。一方で、自社のデジタル・ツールに100%満足しているマネージャーは、45.4%と半数にも満たない。

調査結果からは、ウェルス・マネジメント産業のデジタル化が、ほかの産業セクターに遅れを取っていることも判明している。ほかの産業セクターのスコア平均が5ポイント満点中3.5ポイントであるのに対し、その平均に届かず、3ポイントに留まっているのだ。

超富裕層の6割以上が使うロボアド、それでもマネージャーは懐疑的

それでもロボットアドバイザーを筆頭とする「自動アドバイザリー・サービス」の需要は、過去1年間で飛躍的な伸びを記録している。

同サービスの利用を検討している超富裕層は、世界平均66.9%と前回調査より18.3ポイント増えた。特に、日本を除くアジア地域での需要が79.3%と高い。日本の需要も64.1%と11.6ポイント増えている。需要の伸び率が最も大きかったのは北米で、34.2ポイント増やし67.7%に達している。

ウェルス・マネージャー側の関心はそれほど高くなく、世界平均は30.5%と需要側とのギャップがある。「機械まかせの仕事には賛成できない」といった姿勢がうかがわれる。

若手マネージャーは顧客のためにデジタル・ツールを使う?

供給側であるマネージャーの年代によって、デジタル化の目的にも差がでている。40歳以下の若いマネージャーの84.0%が、デジタル・ツールを「顧客のリスク管理」に最も利用したいと考えている。

それに対し、60歳以上の熟練マネージャーの84.4%が「すでにデジタル化しているライバル企業と競うためのツール」と見なしているのだ。「社外でも仕事ができる」という点も、熟練マネージャーのほうが重要視している。

超富裕層、ウェルス・マネージャーともに、年代によって見解や需要は異なる。だがデジタル・テクノロジーが必要不可欠なツールとして、幅広い層に認識されつつあることは間違いない。デジタル・ツールは利益、経験、生産性・効率性を向上させる、重要なものとして今後も発展を続けるだろう。(アレン・琴子、英国在住のフリーライター)

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