越境EC関連銘柄
(写真=PIXTA)

注目テーマ:越境EC関連

中国を始めとする訪日外国人によるインバウンド需要が堅調に推移しているなか、今月は次の消費トレンドとして足元で注目されるテーマである越境EC関連銘柄を探ってみよう。

日本商品を「ネット爆買い」18年市場規模は4・4兆

越境ECとはインターネットを経由した国際的な電子商取引のことを指し、クロスボーダーECとも呼ばれる。とりわけ日本株投資の観点においては、日本企業が越境ECサイトで海外からの注文を受け付けることによる事業展開に関心が集まることが多い。典型的な例としては、外国人が日本に旅行した際に「爆買い」した商品を、越境ECサイトを利用して「爆買い」する、というものが考えられる。

足元で越境EC市場は拡大基調を続けている。15年5月に経済産業省が発表した調査によると、日本・米国・中国の3か国間における越境ECの市場規模は、日本の消費者による米国・中国からの購入額が2000億円(前年比8・9%増)、米国の消費者による日本・中国からの購入額は8000億円(同13%増)、中国の消費者による日本・米国からの購入額は1・2兆円(同53%増)、合計で2・2兆円となっている。

また、18年までの日米中3か国相互間の越境ECの推計市場規模は、14年から18年までの間に日本は約1・4倍、米国は約1・6倍、中国は約2・3倍となり、3か国の購入総額は、18年までに約4・4兆円へと拡大する可能性が予想されており、中期的にも高成長が期待されよう。

中国の税制改革はポジティブ 現地ECモール出店に商機も

最近のトピックとして、インバウンド消費の主役でもある中国では、4月から越境ECに関する税制度改革が行われた。詳しい説明は省略するが、少額の購入であれば実質増税、高額の購入ならば実質減税となることから、日本企業にとっては、中国向けの越境EC事業拡大にポジティブとも捉えられよう。

物色の方向性としても、中国に向けた「ネット爆買い」への対応動向が1つの焦点となろう。手段としては、自社で越境ECサイトを開設・運営する方法のほか、日本の越境ECモールに出展したり、中国本土の越境ECモールに出展したりする方法も考えられる。

なお、中国のECモールで有名なのは、B2Cではアリババが運営する天猫(Tmall)、京東集団が運営する京東商城(JD.com)の2巨頭である。中国リサーチ会社「艾瑞諮詢(iResearch)」の発表によると、15年の中国B2CのECモールのシェアは、天猫が58%、京東商城が23%となっており、両社で80%超を占めている。

インバウンドの次の消費トレンドとして注目

銘柄としては、前述したような方法で中国に直接商品を販売する企業が物色の中心となる。ユニクロ、マツキヨ、花王などは中国の越境ECサイト「天猫国際」に出店して一定の実績を残している。それ以外にも、ゴールドラッシュ時にジーンズやツルハシを売った企業が生き残ったように、物流や決済など越境ECを側面支援する企業にも注目したいところ。BEENOSやラクーンは自社ECモールで越境EC対応を開始しているほか、Eストアーやソフトクリエイトも、越境ECサイトの出店を側面からサポートしており注目したい。(記事提供= 株主手帳 7月号)

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