米国で中流の上層階級(Upper Middle Class)が急増している。1979年と比較すると2倍以上に値する29.4%の国民が、年間所得10万ドル〜35万ドルの枠組みに属するという。
こうした数字の変化は、米国の経済が豊かになったと受け止められがちだが、実際は貧富の差が拡大していることを表しているに過ぎない。
不動産価格の高騰もあり、特に若年層家庭では、住宅購入の動向にも大きな変化がでているそうだ。
米国の63%が中流の上層階級以上 広がる格差
この調査は、米人口動態調査で収集された5万から7万5000世帯のデータに基づいて、ジョージワシントン大学公共政策研究所のスティーヴン・ローズ氏が分析を行い、レポート化したもの。
3段階に分析期間をわけ、1980年前半の景気循環期に突入する直前の1979年、2008年のリーマンショックへの蓄積期間となった2000年から2007年、恐慌から回復したと見られる2014年を、比較地点に設定している。
レポートによると、1979年からの35年間で、中流の上層階級は米人口の12.9%から16.5ポイント増。
2014年の中流階級全体の所得を見てみると、46%から20ポイント減だが、中流の上層階級以上が占める割合は63%(上流11%、中流上層52%)と、30ポイントも増している。
富が均等に配分されず、ピラミッドの上部のみに集中していることは一目瞭然だ。
貧富の格差については近年、世界中で焦点が当たっているものの、具体的な解決策も打ちだされないまま格差だけが拡大傾向にある。
世界屈指の経済大国、米国といえども、日々の生活に経済的な不安を抱える人々が急増しており、雇用拡大などでは補いきれない不穏な空気が、国全体に広がり始めている。