雇用拡大が継続中の米国では、労働者の仕事への充実度も上昇傾向にあるようだ。調査会社の「仕事の満足度調査」で、49.6%が「仕事に満足してる」と回答した。1987年の61.1%という記録にはほど遠いものの、2005年以来最高の数値だ。

調査したのは米ビジネス・リサーチ会社、Conference Boardで、毎年行われている。

その反面、「生計を立てるのに十分な給与を受けとっていない」との不満も聞こえる。

リストラへの懸念が和らぎ、就労環境が改善

調査結果によると、就労環境自体が著しく改善しており、「素晴らしい職場仲間とやりがいのある仕事に打ちこんでいる」と答えたのは60%にもおよぶ。全体的に失業への懸念が和らいだことが、個人の仕事への満足度に貢献しているようだ。

2015年12月の統計では失業率が5%に低下。リーマンショックの翌年、2009年の半分まで引き下げることに成功した。

2014年から2015年にかけての成長は特に力強く、1990年代後半以来の伸びを見せた。2015年12月だけでも、アナリストの予想をはるかに上回る、29万2000件の雇用口が創出されている。

勢いは今年に入って若干失速しているが、2010年以降の総合雇用数は144万件と、予想以上の快挙を成し遂げている。

リストラの危機が薄れ、「仮に現在の職場を去るような事態に陥っても、次の就職先が比較的容易に見つかるだろう」という精神的な余裕が生まれ、労働環境にプラスの作用をもたらしているのだろう。

しかしリストラの懸念はあくまで「和らいだ」のみで、「去った」わけではない。現に人員削減は全米全土で行われており、特に金融機関では何百人、何千人という大規模なリストラがくり返し実施されている。