展示会場の「空気」で感じられる勢い

2007年3月のCeBIT(ドイツ・ハノーファー)では、当時、シェアを争っていたブルーレイ陣営とHD DVD陣営がほぼ横並びに展示していた。

HD DVD陣営は薄暗いブースの中に映画館を模した形の展示で、入場者にはポップコーンを振舞うという徹底したプロモーション。

しかし来場者の関心はかなりの割合でブルーレイに向いており、どちらの陣営が集客していたかは一目瞭然だった。そしてその展示会から1年経たずして、HD DVD陣営は終息宣言した。

ちなみにHD DVD陣営の某社の担当者が言っていた「うちはポップコーン配ってるだけだから(来場者がポップコーンを取ってブルーレイのブースに行く、という意)」というボヤきは強烈だった。

当時の普及の度合いを考えれば既にこのCeBITの時点で勝負は付いており、どれだけ派手なプロモーションをHD DVD陣営が行おうとも、来場者はその「空気感」を読み、どちらが勝者なのかをハッキリと感じ取っていた。

9月のIFA(ドイツ)など世界各地で定期的に開催

毎年IT系の展示会は開催時期が固定されている。

広く知られている展示会としては、1月のCES(ラスベガス)、2月のMobile World Congress(バルセロナ)、3月のCeBIT、6月のCOMPUTEX(台北)、9月のIFA、10月のGITEX(ドバイ)。

そのどの展示会でも、年々存在感を強くしているのが中国勢だ。アジアで開催される展示会で強いのは当然として、これまで日本や韓国のメーカーがその主役を担ってきた欧州の展示会においても、徐々にファーウェイやハイセンスといった中国のメーカーのブース面積が広くなりつつある。

毎年決まったスケジュールで開かれる展示会は、それを見越したビジネス商談の場という性格がだんだん強くなっており、これも未だ展示会が根強く支持されている理由にもなっている。

9月にはドイツ・ベルリンでIFAという大きなIT展示会が開かれるが、家電製品の展示が多い展示会だ。今回のIFAでも例年同様ソニーやサムソン、LGとったスマートフォンでしのぎを削るメーカーが新型を発表するのは確実とされている。

スマートフォンはIT系商品の最たるものと言えるが、その高い普及率からすれば家電製品とも言える。まさにIFAのようなITと家電が混在する展示会で発表するにはうってつけなのだろう。

どの技術が新しく台頭し、どのように投資が行われるのか。定期的に行われる展示会で大きな発表を控えている企業に注目してみるのも良いだろう。(信濃兼好、メガリスITアライアンス ITコンサルタント)

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