90歳の英エリザベス女王「息絶える日まで君主を務めるのが自らの務め」
また天皇陛下が自ら表現された「天皇の高齢化」についても、関心が集まっている。代表的な例として、昨年90歳を迎えた英国のエリザベス女王が引き合いにだされている。
しかし「90歳の高齢者(エリザベス女王)を、炎天下のパレードや真冬の野外公務に引きずりだすのは酷ではないのか」という意見が稀な理由は、エリザベス女王自身が退位する気がまったくないからである。
英情報誌「THE WEEK」は今年4月、「チャールズ皇太子が国王になる日は訪れるのか」というタイトルの特集を掲載した。
英国では議会の承認が不可欠であるものの、生前退位が認められている。仮にエリザベス女王が生前退位を望めば、議会は女王の意思を尊重し承認するだろう。
それにも関わらず、67歳になった継承者、チャールズ皇太子に譲位しない理由として、「王位を継ぐには未熟と見なしているのではないか」との声も聞かれるが、エリザベス女王の伝記著者、サラ・ブラッドフォード氏はこの説を否定。「女王に生前退位を行う意思がないだけ。息絶える日まで君主を務めるのが、自らに課された義務だと考えている」と、英国をおさめる女王の意思を代弁している。
君主に退位を求める英国人?同じ君主制島国の温度差
同じ君主制の島国という観点から、英国民が遠く離れた日本の君主退位表明を、どのように受けとめているのかというと、中には心ない中傷も目につくが、おおむね「憲法を改正し、退位を認めるべきだ」という意見が多い。
ここでも関心は、日本の天皇退位問題から移行し、自国の君主であるエリザベス女王が「いつ退位するのか」「退位する日がくるのか」という点に集中しているようだ。
意外にも英国民、特に若い世代には「女王は若い君主(チャールズ皇太子やウィリアム王子)に王位を譲るべきだ」、あるいは「君主制度自体が時代遅れなので廃止すべき」という意見が目立つ。
生前退位を望んでいるにも関わらず退位を許されない君主、退位する意思がないにも関わらず退位を求める声があがっている君主。皮肉めいためぐり合わせとしか形容のしようがない。(アレン・琴子、英国在住のフリーライター)
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