人気の「謎肉」復活も好材料に

カップヌードルは、世界初のカップ麺でもある。日本のカップ麺の売上ランキングで、カップヌードルは1位。シーフードヌードルが3位。カレー味が8位にランクされるなど、バリバリのトップブランドといって良い。

ちなみに、カップヌードルは昨年4月に刷新している。豚肉と野菜を固めたダイスミンチ肉、ネット上では通称「謎肉」と言われ根強い人気があった具材を6年ぶりに復活させた。謎肉は2009年に角形乾燥チャーシュー「コロチャー」に切り替わったものの、ファンが多いために復活。コロチャーと謎肉を共存させて具材を充実させたこともプラスに作用している。

ロングセラー商品でも時代に合わせ、消費者の声を聞きながら変革していることが好業績の背景にあるといえよう。

テレビCMで若者層開拓にも積極的にアピール

カップヌードルを積極的に食べていない世代は18~22歳である。同社はこの世代にアピールする広告プロモーションも展開している。

テレビCMでは2012年からAKB48を起用したほか、2013年からサメが登場するCMを展開、さらに2014年からは錦織圭などを起用して効果を上げている。

今年5月にはどん兵衛をリニューアルしている点も見逃せない。たとえば、「カレーうどん」には、具材に従来のダイスミンチ、ポテト、ニンジン、ネギに加えて、きざみあげとあげ玉を加えるなどの工夫をしている。そもそも、どん兵衛は関西と関東でだしを変えるなどきめ細かいマーケティングを実践していることも、息の長い人気につながっている。

「カップヌードルライト+」「リッチ」で購買層拡大

女性層やグルメ層向けに、カップヌードルを手に取ってもらえるような商品開発にも取り組んでいる。

それまでは、女性層にも一定の需要が見込めるにもかかわらず、カロリーの高さや男性的なイメージから敬遠されがちな状況が続いていた。

そこで、ローカロリーの「カップヌードルライト」を投入したほか、「カップヌードルライト+」として「ラタトゥイユ」と「バーニャカウダ」など女性が手に取りやすい商品を発売。違うブランドにせず、あえて「カップヌードル」の冠をつけて商品化した。

「カップヌードルリッチ」も、新しい層を狙ったものだ。カップヌードル リッチは、最高級のプレミアムタイプのセレブヌードルで2016年4月に発売されたばかり。定価は通常のカップヌードルより50円も高い230円。味は「贅沢とろみフカヒレスープ味」と「贅沢だしスッポンスープ味」の2種類を揃えている。

海外でも成長が続くカップヌードル

海外ではラーメンの認知度アップとともに、カップヌードルの海外売上も順調に拡大している。

4~6月の米州地域の売上は59.5%増の128億円となり、全体の売上2桁増に最も寄与した。前期より連結対象となったニッシンフーズブラジルの売り上げ増効果が大きかったので、今後も2桁の伸びが続くわけではないが、食品業界においては高い伸びを示しているのは間違いない。同社の今期通期の売り上げ予想は6.8%増だ。

2020年に時価総額で1兆円を目指す

同社は海外を成長のドライバーとして注力しており、グローバルブランディングの促進、グローバルカンパニーの評価獲得を2020年までの中期経営計画に掲げている。

その中で、2020年度には対2015年比で海外カップヌードル販売食数を1.5倍に増やし、営業利益に占める海外の割合を11%から30%まで拡大する方針を明らかにしている。なかでも、BRICs (ブラジル、ロシア、インド、中国) は重点地域という。同社の時価総額は2015年で5700億円であるが、2020年には1兆円を目指す構えだ。

普段何気なく食べているカップヌードルであるが、そこには緻密な企業戦略・戦術がある。機会があれば、スーパーやコンビニで人気の高い商品、販売している棚が増えてきた商品に注目し、その企業の株価をチェックしてみてはいかがだろうか。(ZUU online 編集部)