五輪で膿を出し切った?ブラジル経済底打ちと見る専門家たち

オリンピックが経済成長をほとんどもたらさず、損失さえ生むというのは皮肉な話だが、大会に至るまでが、ブラジル経済の真の危機であったため、五輪後は回復に向かうとする主張もある。トンネルは抜けたというわけだ。

スイスに本拠を置く世界有数の金融会社UBSは、「ルセフ大統領の追放などで、政治が安定化してきた今年の後半に、ブラジル経済は目に見えて回復する」と予測する。

このためUBSは、「高金利国ブラジル通貨のレアルをロングにして、低金利の欧州通貨ユーロや米ドルをショートに据え、金融資産などで運用し、運用益に加えて金利の利ざやを獲得しようとする、2桁台も夢ではないキャリートレードが魅力的に見えてきた」とする。「レアルの夢よ、再び」である。

米投資会社フランクリン・テンプルトンの著名な新興国専門家、マーク・モビアス氏は最近のツイートで、「最近の指標を分析すると、ブラジル経済は底打ちしたようだ」と述べ、投資意欲を見せた。

また、米JPモルガン・アセット・マネージメントのグローバル市場ストラテジスト、ガブリエラ・サントス氏も、「ブラジルの景気後退は出口に一歩近づいたようだ。すでに最悪の時期は過ぎたかもしれない」との見解を表明している。

さらに、米ゴールドマン・サックスも、「五輪で盛り上がったブラジルのオリンピック精神が、同国経済のアニマル・スピリットをも持ち上げ、ブラジルは再び経済のトップ・パフォーマーの地位に返り咲くだろう」と強気だ。

UBSは、実際にブラジルのマクロ経済が回復してゆけば、「新興国への投資が興味深い投資機会になる」と前置きし、「ブラジル中央銀行が実行すると予想される金融緩和で、同国の国債やレアル建て債が強いパフォーマンスを見せるだろう」としている。

このように一時期、投資家から敬遠されていたブラジルに、再び熱い視線が注がれているのは、見逃せない。

ブラジルの株式市場は、そうした投資家期待を先取りしているかのような動きを見せている。レアル建てでは、年初来35%も上げており、米ドル建てにすると、さらに上げ幅は大きくなる。有力なMSCI ブラジル指標は 71%も成長している。

もちろん、これだけ大きく上げられるのは、上昇に転じる前の3年間の下落があまりに悲惨だったからだ。それでも、五輪後のブラジル経済がより深い危機に陥るか否か、市場ははっきりと語っているように見える。(ZUU online編集部)

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