松屋は「定食屋」として展開する戦略

松屋はむしろ牛丼屋から定食屋へと、スタイルをシフトさせている。6月には創業50周年記念で、ワンコインキャンペーンを行っている。定番の人気メニュー「牛焼き肉定食」590円を500円で提供したのだ。ワンコインというアピールと、牛丼でなく牛焼き肉定食を選んだところに松屋のこだわりが感じられる。

松屋はカレーもスパイシーでおいしいと、一定の顧客層をすでに獲得している。 今後も、牛丼もカレーも楽しめる定食屋という、スタイルを続けていくのだろう。7月の松屋の新商品ラインアップをみても、その心意気を感じる。7月の新メニューは「茄子と豆腐と粗挽き肉の四川風麻婆定食」「山形だし牛めし」「スタミナ肉野菜炒め」だ。ほかの2社が販売している鰻を発売していないのも、同社のこだわりだろう。

すき家は牛丼・カレーのバリエーションを充実させる戦略

すき家も昨年の人手不足ショックから、回復してきている。深夜のワンオペレーションなど、人手不足問題がネット上でやり玉にあがり、閉店を余儀なくされる店もあったほどだ。外国人の積極採用で人手不足は解消したようで、既存店の伸びが目立ち始めた。同社は牛丼やカレーのバリュエーションで勝負している。

主力の牛丼では、「とろ~り3種のチーズ牛丼」「ねぎ玉牛丼」「わさび山かけ牛丼」など人気メニューも多く、10種類程度のバリュエーションを用意している。今年の夏は「アラビアータ牛丼」を期間限定発売。「激辛注意!すき家史上最も辛い牛丼登場!!この体験無くして夏は終われない!?」と、辛いものマニアにはたまらない広告を打っている。

カレーも、夏限定の辛い「アラビアータカレー」や、夏野菜たっぷりのカレーなどを10種類程度展開しており、専門店にも劣らない品揃えだ。

吉野家はちょい飲み、松屋は揚げ物、すき家は…?

主力の牛丼以外でも、各社の個性が光る取り組みが続々出てきている。

吉野家はチョイと一杯の居酒屋「吉吞み」。牛煮込み350円とビール350円でも軽く楽しめるほか、もちろん牛丼も味わえる。〆の牛丼は300円だ。焼酎が飲みたかったらデジタルボトルキープで、全国どこでもボトルが出てくる。気軽さ・使いやすさを売りにしている。

松屋は、揚げ物系「松のや・松乃家・チキン亭」。今トレンドのトンカツ形態、唐揚げ形態のチェーン店に力を入れ始めている。

すき家を展開するゼンショーは、M&Aを成長のドライバーとしている。たとえば2005年になか卯、07年にはジョリーパスタを買収した。規模を拡大することで、全体のオペレーションのコストを下げる戦略だ。

アベノミクスの停滞で、デフレ色がまた色濃くなってきたこともあり、牛丼御三家などの巻き返しが目立ち始めている。消費者としては、どちらにしても、おいしいものが安く食べられる店を応援していきたい。

平田和生(ひらた かずお)
慶應義塾大学卒業後、証券会社の国際部で日本株の小型株アナリスト、デリバティブトレーダーとして活躍。ロンドン駐在後、外資系証券に転籍。国内外機関投資家、ヘッジファンドなどへ、日本株トップセールストレーダーとして、市場分析、銘柄推奨などの運用アドバイスをおこなう。現在は、主に個人向けに資産運用をアドバイスしている。

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