中国・北京、英国などでも葬儀費用が高騰

日本の伝統の象徴であるはずの葬儀産業が、海外に流出せざるを得ない背景には、「世界一高い」と形容される日本の葬儀費用問題がある。

各国の統計によると、日本の平均葬儀費用は189万円(日本消費者協会2014年調べ)と、ひと昔前よりは平均額がさがっているものの、まだまだ高額だ。この内訳には、葬儀一式の費用、寺院費用、飲食接待費用などが含まれているとはいえ、すべての残された家族が躊躇なく支払える金額ではない。

そこで簡易式の葬儀プランが注目を浴び、「家族葬(葬儀を身内だけで行う)」や「直葬(お通夜や告別式などの儀式をすべて省略する)」で故人を見送る家庭も増えているという。

しかし物価の上昇や土地不足による墓代の上昇が原因で、葬儀費用の相場が吊りあがっている国も見られる。

中国の北京などでは葬儀費用が跳ねあがり、都市部住民の平均年収の最高3分の1に値すると報じられているほか、「先進国では最も葬儀代が低い国」と報道されていた英国も、近年の平均2800ポンドから3700ポンド(約37万円から49万円)と、調査機関によって開きはあるものの、それほど安くはない。

ただし日本も英国も政府から補助金が支給される制度が導入されており、日本では「葬祭費」や「埋葬料」が東京で7万円、その他の地域では3万から5万円、英国では喪主にあたる人物の所得に応じて、最高700ポンド(約9万円)が支払われる。

両国ともに体裁にこだわらず、最も低額な葬儀プランを選べば、平均以下におさめることは十分に可能だ。

その結果、日本の伝統的な葬儀の影が年々薄くなり、「いつの間にかほかのアジアの国でしか見かけなくなった」といった切ない状況が訪れなければよいのだが。(ZUU online 編集部)

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