学力低下に、人口減少、何よりも学術論文の数が少ないなど、将来的に日本からのノーベル賞受賞者は、減ってしまう可能性がある。そんな話が出てきて久しいが、このランキングを見ると少し希望を持てるかもしれない。

ロイターによる「アジアで最も革新的な大学ランキング」の最新版が発表され、日本からは9校、韓国からは8校がトップ20入りという快挙を成し遂げたのだ。

アジアで最も革命的なのは韓国科学技術院

上位にランクインした学校数では、最多となった日本だが、順位では首位に輝いた韓国科学技術院(KAIST)を始め、韓国勢に若干押され気味な印象だ。

評価にはロイターのデータ網を用い、アジア圏から150校を選出。10項目(特許数、特許の成功率、被引用回数、学術論文数など)を評価基準に、各校の技術開発力や世界経済推進への貢献度などを測っている。

1位に輝いた、KAISTは韓国を代表する大学といっても過言ではないほど、数々の大学ランキングで上位入りを果たしている。パテントポートフォリオ(特許分析ツール)の質の高さは、アジア圏の大学の中でも飛びぬけており、国際的な影響を与える水準に達しているという。今回のランキングでも、独創的で影響力の高い研究が、評価につながった。

同じくロイターが、昨年9月に発表した「世界で最も革新的な大学ランキング」でも、トップ10入りを果たしている。スタンフォード大学、ハーバード大学、マサチューセッツ工科大学など、並みいる強豪校と国際レベルで競い合い、アジア圏から唯一選出されたことを考えるとその実力は本物だ。

韓国からはほかに、ソウル大学校(3位)、浦項工科大学校/POSTECH(5位)、成均館大学校(8位)、延世大学校(9位)、高麗大学校(14位)、漢陽大学校(15位)、光州科学技術院(17位)が、トップ20に名を連ねている。

阪大・京大を逆転、復活を遂げた東大

2位の東京大学は、世界各国の大手企業200社と提携を結び、精力的に新領域の研究に取り組んでいる。米ジョンソン&ジョンソンや、富士フイルム <4901> などの協力を得て、「次世代医薬分子解析学講座」や「大学院医療品質評価学講座」を開設するなど精力的だ。2008年から2013年にかけての特許出願件数は923件、成功率は52.5%だ。

しかし「世界で最も革新的な大学ランキング」ではKAISTに大きく水をあけられ、24位に甘んじただけでなく、大阪大学(18位)、京都大学(22位)に次いで、日本の中でも3位だった。

1年が経過し、今回のアジアランキングの総合スコアは52.7を記録。短期間で革命力を復活させ、大阪大学(4位)、京都大学(7位)を逆転するなど、東京大学の本気度が伝わってくる。

ほかにも東北大学(6位)、東京工業大学(12位)、九州大学(18位)、名古屋大学(19位)、北海道大学(20位)が健闘し、私立では唯一慶應義塾大学(10位)が選出されている。