本格的「おひとり様時代」の到来
かつて2000年代前半にも、主に未婚女性を指して「おひとり様」という言葉が使われていました。今、国勢調査からうかがえるのは、性別に限らずその対象がより広くなり、女性対象だけでない新しい市場として注目せざるを得なくなっている状況です。
この市場を狙った「おひとり様向けビジネス」は、言い換えれば「中高齢者おひとり様ビジネス」といえるでしょう。ここで出てくるビジネスは、今までにない革新的、革命的な製品やサービスではありません。ファミリーや団体客などを顧客層として提供されてきた既存の製品、サービスをおひとり様用にアレンジするケースが多いようです。
その場合、二つの視点から考えるべきでしょう。
一つはダウンサイズです。既存の製品、サービスをより「個」をターゲットに小さく、シンプルにすることです。家電製品、料理などが該当するでしょう。この先は小さな街中を走るだけのコンパクトカーと、遠方へ出かける大型車に二極分化していくだろうというのもおひとり様市場に見合う例です。
またこの分野では、ベンチャービジネスが生きていける可能性も高いです。小売価格を5,000円以下に抑えた小型ジューサーミキサー、トースト1枚サイズのオーブントースター、カップ1杯用のコーヒーメーカーなど、通常より小さなサイズに絞った家電製品だけを製造販売しているベンチャーがあります。色とデザインにこだわり、量販店ではなくインテリアショップで販売することで、30代・40代から上のおひとり様市場を狙っています。
もう一つの視点は、ダウンサイズしながら付加価値を付けていくことです。1人暮らしに「こだわり」を持つ人には、付加価値を付けないと売れないからです。この中には、いくつかの製品、サービスを「集合」させ、新しい価値を加えていくものも含まれます。既存の製品やサービスのおひとり様向け「再編成」です。
住まいで言うと、3LDK・70平方メートル前後をファミリータイプと位置付けるのがこれまでの例ですが、これからは部屋数を減らして大きくした部屋をオーディオルームや趣味の部屋にして、これを「おひとり様」に仕立てた住まいが売れていくでしょう。既に、これより小さい50平方メートルクラスの部屋は、部屋数を減らして新しい用途を付加する形が採られています。
単身世帯数データの動向から、「おひとり様」向け市場の現状や今後についてみていきました。
今後、高齢者の単身世帯が増えてくるのは確実とみられます。あらゆるビジネスはこの事実と向き合い、ターゲットに即した製品・サービスを世に送りだし、需要を取り込めれば、消費活動の活性化にもつながるでしょう。不動産市場も同じです。こうした「おひとり様」向けの住居、設備、システムがますます注目され、普及することでしょう。(提供: 不動産投資ジャーナル )
【関連記事 不動産投資ジャーナル】
・
平成28年度税制改正で規制が入る「不動産投資に関する消費税還付」とは?
・
日銀のマイナス金利が不動産投資に与える影響とは?
・
不動産投資の成否のカギは対象エリアでの賃料相場の把握
・
規制緩和でAirbnbでの空室運用が実現!?高稼働率の実現も夢ではない
・
ROIを自分で計算できるようになりましょう! 不動産投資の重要指標