スーパーマリオランは成長ストーリーを期待できそう

アナリストや市場が期待していた任天堂のパラダイムシフトは100億円とかのレベルではないはずだ。任天堂は、2015年にDeNA <2432> との提携でスマホマーケットに参入することを決めた。この決定は、任天堂の創業者でカリスマ社長であった故・山内氏のつくったビジネスモデルから、ついに任天堂が脱却する表明だったのだ。

スマホの普及でスマホゲーム市場という新しい市場が完全に立ち上がった。任天堂は、自社製品を侵食するとして一貫してスマホ市場への参入を拒否したためにこの市場に乗り遅れた。2012年3月期に営業利益ベースで赤字となり、営業赤字が3期続いた。

従来の任天堂のビジネスモデルである、自前のゲームコンソールを赤字覚悟でプラットフォームとして普及させたうえで、自社ソフトの売上、サードパーティのソフトの委託生産料やロイヤルティ収入で稼ぐというスタイルはもう機能しなくなっていた。

アナリストや市場は、任天堂の保有するポケモンやマリオやゼルダといった知的財産(IP)は日本が世界に誇る強力なコンテンツであり、そのIPを活かす方向に行くべきだと考えていた。任天堂がついに決意をしたのが2015年のDeNAと提携だったのだ。

スーパーマリオランは元祖スーパーマリオのように、マリオが走ったり跳んだりしながらコインを獲得し最後にフラッグに飛びついてゴールするダンジョンが続く。

スマホプラットフォームなので片手で操作できるようになっている。非同期バトルモードも備わっていて、第三者と対戦することも可能だ。集めたコインでキノコ王国を作成できる機能もあるようだ。基本的には、無料でプレイできるが、ゲームの全コンテンツにアクセスするには課金が必要なシステムになる見込みだ。

スーパーマリオランは、任天堂の最強IP(知的財産)を任天堂が開発したアプリで配信、サーバ関係をDeNAが担当する。市場が任天堂の回復のために必要と考えていたストーリーに近いだろう。マリオの投入は今期中とは思われてはいなかったので、ポジティブサプライズだった。

ゲームコンソールを侵食するのでなくシナジー効果を

中長期的な成長ストーリーがないと、株価は持続的に上昇しない。任天堂がマリオランで大きな一歩を踏み出したのは間違いない。今後、DeNAとの協業でリリースされる「どうぶつの森」「ファイアーエムブレム」も人気の高いキラーコンテンツだ。マリオの投入でこの2本は秋口の配信を予定されていたが年度内へと延長された。

スマホ版どうぶつの森は、ゲームコンソール用のどうぶつの森と連携し、両方で遊ぶことでより楽しみが増えるようなスタイルになるようだ。ゲームコンソール向けタイトルとの相乗効果を生み出すアプリとして期待されている。任天堂の将来を背負っているのはポケモンよりもマリオなのだ。

スーパーマリオランは、今年12月にAppストアで、9か国語、100か国以上に向けて独占的に配信開始となる予定だ。アップルのAPPストアに行ってみて欲しい。スーパーマリオ人気を事前に受け入れるために、Appストアのマリオランの「Notify(通知)ボタン」をクリックしておくと、ソフトがダウンロード開始になれば通知してくれる。これもマリオのためにアップルが始めた新機能だ。12月に世界的な話題になることはほぼ確実だろう。任天堂の未来を塗り替えることが出来るのだろうか、楽しみだ。(ZUU online 編集部)

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