アパートやマンションなどの不動産投資は、株やFXに比べて比較的手堅い投資といわれています。
それでも、経営に失敗して巨額の負債を抱えてしまう方も少なからず存在します。それらの失敗事例を見ると、共通して、3つの「地雷」を踏んでしまっていることが分かります。それらは、初めて不動産投資を始めた方がやりがちな3つの失敗パターンなのです。具体的に見ていきましょう。
1. 自己資金不足
●自己資金は多ければ多い方が安泰
現在、金融機関の不動産向け融資額は、バブル期を超えて過去最高となっています。しかもマイナス金利を受け、超低利で資金調達が可能です。このチャンスを逃さず、一気に収益不動産を手に入れてしまうのも、一つの戦略かもしれません。しかし、好環境・好条件の時こそ立ち止まって考えるのが不動産投資家の鉄則です。確かに、現在の超低金利は千歳一隅のチャンスですが、逆にいつ金利が上昇に転じてもおかしくはありません。超低金利で、ようやく収益が出るような収支構造では、すぐに赤字に転落する可能性もあるのです。
これを回避するには、自己資金を多く準備しておくのが最も確実な方法です。つまり、借り入れを少なくして返済比率(家賃収入に占める融資返済額の割合)を引き下げるのです。少々の金利上昇でも耐えられる収支構造にしておくことが重要です。確かに、自己資金0円でも不動産投資を行うことは可能です。しかし、自己資金が0円での不動産投資は経営的不安要素が多くなるでしょう。
●家賃保証システムにも思わぬ落とし穴
自己資金が十分でない大家さんが安定した家賃収入を目論んで飛びつきがちなのが、「家賃保証システム」(サブリース)です。実際の入居率に関係なく、毎月一定の家賃を大家さんに保証するという制度ですが、これにも注意が必要です。
このシステムは大家さんのリスクを不動産会社が肩代わりしてくれるようですが、実は、「2年ごと」あるいは「10年後」に家賃を見直すという仕組みになっているケースが多いのです。つまり、最初に提示された保証家賃が更新ごとに引き下げられていく可能性があるということです。
また新築の場合、10年ぐらいは満室が続きますが、家賃保証が必要になるのは実際のところ10年目以降です。しかし現実は10年目以降の契約更新で、大幅に保証家賃が引き下げられることも珍しくありません。20年後、30年後まで、最初の家賃収入が保証されると思い込んで契約を結んでしまうと、後から経営に行き詰まる恐れがあります。この点には十分注意する必要があります。