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(写真=PIXTA)

おそらく、押し売りされて嬉しい人などいないだろう。だから営業を「嫌だ」と思う人は数多い。とはいえ、世の中にはたくさんの販売員が存在している。さてその販売員だが、大きくいうと2種類に分かれている。それは、セールスが「得意だから」販売を仕事にしている人と、「仕事だから」やっている人の2パターンである。

ほとんどの販売員が、実際は販売が得意でないことは、世間を見ればわかるだろう。

販売員が「売れない」原因は、セールス技術の問題ではない

売れない販売員の多くは、顧客の潜在的ニーズを引き出そうと、日夜悪戦苦闘している。しかも、そういう人に限って「自分に足りないのはセールストークだ」とか「クロージングの腕を磨かなきゃ」といった、誤った考え方に陥っていることが多い。

そうしたノウハウに固執している人は、売れないのはノウハウが間違っているからだと思い、「ダメなら他の方法を探す」といった行動を繰り返しがちになる。だが、売れない販売員に足りないのは、セールスの技術ではなく、マーケティングである。もっとわかりやすくいうなら「顧客を知ること」である。

多くの場合、売れない販売員は「顧客その人」のことを見ていない。だいたいは顧客が「自分の店に入ってきた」とか、「商品を手にとった」といった現象に、条件反射をしているに過ぎない。売れない営業マンも同様で、「従来からの取引先だから」「自社商品について問い合わせをしてきたから」といった状況に機械的に対応しているだけである。

「潜在需要」を掘り起こすことと「押し売り」の違い

そもそも、売るのが下手な販売員は、顧客の潜在需要を掘り起こすことと、押し売りすることの区別がついていない。

たとえば、顧客がお店で商品を買うと、「これはいかがですか?」「あちらもオススメです」と、プラス1品を買ってもらうために、いろいろと勧めてくる販売員がいる。確かにそれなりに効果はあるだろうが、これではマニュアル業務の域を出ない。

大多数の販売員は、とりあえず「今ある商品」を勧めているだけで、その顧客にとって、それが本当に必要なものなのかどうかまでは考えていない。しかし顧客は「これは私のためにいってくれている」とか「これは自分にとって必要だ」と感じない限り、アクションを起こすことはないのである