国が行う地価公示とあわせて、一般の土地取引価格の指標になっているのが、国土交通省が毎年1回基準地の価格調査結果を公表している「都道府県地価調査」だ。この調査は、2016年7月1日時点で都道府県が行った調査を国土交通省がまとめたもので、東京電力福島第一原子力発電所の事故による避難指示区域などを除く全国2万1600余りの基準地が対象となっている。
住宅地の概況 地方と三大都市圏の格差広がる
「都道府県地価調査」によると、全国の住宅地についての対前年平均変動率は▲0.8%で、前年の▲1.0%と比べると0.2ポイント下落率が減少した。三大都市圏における変動率をみると、東京圏と名古屋圏では0.5%の上昇で、大阪圏は前年と変化がなかった。他方地方圏では▲1.2%と変動率がマイナスになっており、三大都市圏との間に格差が広がっていることがうかがわれる。
下落率トップは熊本県の上益城郡益城町
住宅地について下落率の1位になったのは、熊本地震の被災地となった熊本県の上益城郡益城町で、対前年比の変動率は▲ 9.8%だった。
拡大する地域格差
2位と6位にランクされている兵庫県姫路市家島町は、瀬戸内海・播磨灘にある大小40余の島々から構成されている。家島諸島を訪れるには、姫路港から「高速いえしま」や「坊勢汽船」などの定期航路を利用することになる。3位以下となった各地も、そのいずれもが人口の減少ないしは過疎化の問題を抱えている。こうした地域では今後も新たな住宅需要が生まれてくるとは考えがたく、都市部との格差は広がるばかりだ。