手数料無料サービスで一躍オルタナバンキングを代表する存在となったSimpleから、「友人とシェアする銀行口座」という一風変わった商品が誕生した。

必要に応じて個人口座から共同口座に自由に切り替え可能で、共同収入・支出を管理するだけではなく、共通の貯蓄目標金額の達成(家や車の購入、旅行費用など)を支援するツールなども利用できるため、「一人ではお金の管理がうまくできない」タイプには大歓迎の発想だ。

共有エコノミーの観念を金融市場に

欧米では定着している「共同預金口座(joint bank account)」だが、通常は夫婦・家族・事業者間などで開設することが多い。

Simpleは友人・家族向けの共同口座「Simple Shared」を売りだすことで、共有エコノミーの観念を金融市場に取りいれようと試みている。

Simpleの個人口座利用者であれば、恋人から友人、家族、ルームメイトまで誰でも簡単に共同口座開設可能。共同口座開設希望者はSimpleのウェブサイトを通して、お互いの口座をリンクさせるだけだ。

個人口座と共同口座間の行き来も、別々のログイン情報を入力する手間なく楽々スムースに行え、口座間の送金も即時で完了するという便利さが魅力。

「Simple Shared」ならば家賃の支払いから飲食代の割り勘まで、わずらわしいプロセスが一瞬で解決されるというわけだ。

個人口座でも無料で提供されている「貯蓄目標金額の達成ツール」や「収入・支出管理ツール」が共同口座でも提供されているので、生活費の共同管理や同じ目標に向かって貯蓄をしている利用者にとっては、力強い味方になるだろう。

VISAカードの手数用が無料になるのも、嬉しい特典のひとつだろう。年利が0.01%と非常に低いのが難点だが、Simpleは将来的な引きあげを検討中だとコメントしている。

Simpleは2014年、デジタル改革に熱心なスペインの銀行大手ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア銀行(BBVA)に1億1700万ドルで買収されている。( FinTech online編集部

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